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2018-09-18

【秋場所中盤を終えて】 鶴竜、白鵬の両横綱が全勝守る 稀勢の里は9場所ぶりの勝ち越し

※遠藤を寄り切りで降し、十日目に勝ち越しを決めた稀勢の里
写真:月刊相撲

 秋場所は10日目を終えて全勝が鶴竜、白鵬の両横綱だけ。1敗で髙安、2敗で稀勢の里、豪栄道、竜電、貴ノ岩が追いかける展開となりました。

 注目の稀勢の里は10日目に遠藤を寄り切って8勝目。新横綱で優勝した昨年春場所以来、9場所ぶりの勝ち越しを決めました。初日、2日目ぐらいまでは支度部屋で落ち着きがなく、緊張しまくりの様子でしたが、中盤からは余裕が出て、付け人と談笑する姿も見られました。2敗は喫しましたが、負けを引きずることなく、特に9日目の栃ノ心戦に快勝したことで自信も戻ってきたようです。引退危機を脱し、終盤の上位戦が楽しみになってきました。

 大関取りの御嶽海は9日目、10日目と白鵬、鶴竜に敗れて6勝4敗となりました。残り全勝でいけば、大関昇進の可能性はありますが、かなり難しくなったと言わざるを得ません。以前から下には勝っても、上に勝てないと言われていた御嶽海。優勝した名古屋は上位の相次ぐ休場で、自分より上の力士は豪栄道と髙安の2人だけでした。この対戦を1勝1敗で乗り切って初優勝に結びつけたわけですが、横綱が戻ってきた今場所は力の差を感じずにはいられません。場所後の昇進が難しくなっても、九州場所につなげるためにも二ケタ勝っておきたいところです。

 全勝の2横綱はケガのために夏巡業で稽古らしい稽古ができませんでした。何とか初日に間に合わせたという感じで、途中休場もあるかもと思っていたのですが、始まってみれば、さすがのひと言です。稽古は足りていないはずなのに、勝負勘は研ぎ澄まされています。

 終盤戦はモンゴル2横綱と稀勢の里、髙安の田子ノ浦コンビの対決の図式となるでしょう。稀勢の里に髙安を援護するという意識も余裕もないでしょうが、稀勢の里が頑張れば、髙安の初優勝の可能性も出てきます。目の離せない残り5日間となりそうです。

文=山口亜土

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