※2日目、稀勢の里が貴景勝を突き落としドヤ顔
写真:月刊相撲
秋場所の目玉は稀勢の里の復活と御嶽海の大関取り。この2人が序盤の5日間を終えて無傷の5連勝で、中盤以降さらに盛り上がっていくでしょう。
そのほか全勝力士は鶴竜、白鵬、髙安、北勝富士、嘉風の計7人。3横綱がそろって5日目まで全勝なのは平成元年(1989)春場所以来29年ぶりのことです。八角理事長(元横綱北勝海)は「稀勢の里効果だね」と評していましたが、鶴竜も「みんな勝っているので、いい緊張感がある」と語っていました。1敗で大関豪栄道、平幕の朝乃山、佐田の海、竜電の4人が続いています。カド番の大関栃ノ心は3勝2敗です。
稀勢の里の相撲内容については、完全復活とはとても言えないような相撲ですが、勝ったことに意義があります。2日目からはピンチの連続で、途中で自分の形になっても攻めきれずに逆襲され、必死に残しての逆転勝ちばかり。
館内のお客さんは、稀勢の里の簡単には勝たないサーカス相撲にハラハラドキドキ、悲鳴から安堵のため息に変わる毎日で、相当、楽しめたことでしょう。この内容で優勝争いに絡めるかは疑問ですが、5連勝したことで引退危機は脱したと思います。早めに勝ち越せば、肩の荷も下りてもっといい相撲が取れるでしょう。
大関取りの御嶽海は、滑り出しこそ硬さが見られましたが、徐々に内容もよくなって、5日目は連敗していた栃ノ心を破りました。横綱、大関が元気なので、上位をあと2、3人倒して11勝以上すれば大関は当確と言えます。ここからが正念場です。
場所前は不安視されていた3横綱や髙安が5連勝ということで、久しぶりに上位力士による熾烈な優勝争いが見られそうです。このまま星を落とさず、直接対決のある終盤戦まで持ち込んでほしいものです。
文=山口亜土
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