夏場所は初日から横綱稀勢の里、大関髙安の田子ノ浦コンビが休場。稀勢の里は最後まで出場を迷っていましたが、直前の稽古の内容も悪く、師匠に説得されて休場を決めました。次の名古屋場所は進退が懸かる場所になります。痛めた左手に頼らない相撲に変える必要がありますが、左おっつけの威力で横綱まで上がった力士だけに、モデルチェンジはかなり難しいと思われます。何とか復活してほしいのですが……。
※初日、松鳳山を外四つから豪快に吊り上げて寄り切る栃ノ心
写真:月刊相撲
夏場所は序盤の5日間を終えて、全勝は休場明けの横綱白鵬と大関取りの関脇栃ノ心、平幕の正代だけとなりました。1敗で追うのが鶴竜、逸ノ城、勢、大翔丸、千代の国、旭大星の6人です。大関の豪栄道、御嶽海、遠藤の両小結は2敗を喫しています。
白鵬は左張り手からの右カチ上げを封印し、左で軽く張って右肩から当たっていき左上手を狙う立ち合いに変えました。まだ上手の取り方が上からいっているので、ワキが空くなどスキはありますが、これからさらに調子を上げていくでしょう。
大関昇進を狙う栃ノ心は、プレッシャーに負けず力強い相撲で連勝を続けています。マゲを担当している床山さんによると、いつもはマゲを結っているときに冗談をよく言うそうですが、今場所は黙っていることが多いとか。緊張感もあるのでしょうが、集中もできているのでしょう。大関昇進には11勝が必要ですが、2度目の優勝も狙えそうな充実ぶりです。
正代は上位総当たりとなる地位だけに、中盤から横綱、大関と組まれるでしょう。それまでにできるだけ勝っておきたいところです。鶴竜は引き技で松鳳山に不覚を取りましたが、調子自体は優勝した先場所よりもよさそうです。最後までついていって、優勝戦線を面白くしてほしいものです。
逸ノ城はさらに体が大きくなって225キロ。どっしりと構え、安定感が増しました。この体でスピーディな相撲は取れないので、体に合った相撲を取っていると思います。その逸ノ城を5日目に大熱戦の末に破った遠藤も白星先行です。連日の懸命な土俵に大きな拍手が送られています。
優勝は白鵬、栃ノ心、鶴竜の3人で争われるでしょうが、終盤の直接対決まで星を落とさずいけば、さらに盛り上がることは必至です。
文=山口亜土
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