男子200m自由形で代表入りを決めているのは松元克央(セントラルスポーツ)のみ。この種目は800mフリーリレーの代表選考対象でもあるが、リレーの派遣標準(1分47秒08)を突破したのは松元ただひとりで、代表枠は3つ残っている状況だ。
※写真上=5月上旬、シドニーオープンで自己ベストを更新し勢いに乗る高橋
写真◎毛受亮介(スイミング・マガジン)
リレー種目は7月の光州世界選手権で12位以内に入らなければ来年の東京五輪の出場権を得られないだけに、夏に向けては不安な状況ではあるが、追加選出を狙う選手にはとりあえず4月の結果は忘れ、いまこそチャンス、“オレのジャパンオープン”くらいのふてぶてしさでレースに臨んでほしいところだ。
個人での代表入りは現実的に厳しいところにいるものの、まさに、オレのための大会、といえる位置につけているのが日本選手権4位の高橋航太郎(自衛隊体育学校)だ。
日本選手権決勝では1分48秒56でリレーの派遣標準を突破できず「表彰台を狙っていたのに悔しい」とうなだれたが、4位だったことで日本代表・代表候補合宿の参加資格をゲット。4月25日から5月14日まで行なわれた豪州合宿に参加。締めくくりに出場した5月11日のシドニーオープンで1分48秒05をマークして自己ベストを更新、リレーの派遣標準まであと0秒97に迫るタイムをたたき出した。
このレースには日本選手権2位の吉田啓祐(日本大1年)も出場したが1分50秒40に終わっており、4月からの勢いという点では高橋がリードしている状況にある。左肩痛に苦しむ日本選手権同着2位の江原騎士(自衛隊体育学校)の状態次第だが、ジャパンオープンでは高橋、吉田、江原が競り合う構図も予想できる。勝負のポイントは100m。高橋は日本選手権の反省から「51秒台で回る」ことを必須条件としているが、レースの行方に注目だ。
ほかにこの種目では、日本選手権で予選を1位通過し、「誰だ…?」と辰巳をざわつかせた中村海渡(東洋大4年)もチェックしたいひとり。日本選手権では決勝で5位に入りユニバーシアード大会代表に選出、波に乗っている。同じく5位だった藤山敦司(近畿大4年/イトマン近大)は、同7位で昨年の日本代表の坂田怜央(イトマンSS)と昨季までともに練習して強化をはかり、今年に入って安定して結果を出している。坂田の自己ベストは1分47秒23だが5年前にマークした記録であり、また藤山の自己ベストはリレー派遣標準にはまだやや開きがある。しかし、4月の結果を自信に上位に食い込む泳ぎでレースをかき回してほしい。
文◎佐藤温夏(スポーツライター)
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