◆競泳・第95回日本選手権7日目(4月8日/東京辰巳国際水泳場)
この日、新たに個人種目の代表内定条件(決勝2位以内+派遣標準II突破)をクリアしたのは男子100mバタフライ優勝の水沼尚輝(新潟医療福祉大職員)だった。「後半50mが持ち味なので、前半50mをいかに楽に、落ち着いて入るか」と決勝でのポイントを挙げていた水沼は前半50mを24秒06で折り返すと、後半は川本武史(TOYOTA)、安江貴哉(新東工業)、小堀勇氣(ミズノ)らと横一線の競り合いとなる中、ラスト25mを切ったあたりから徐々にリードを奪うと、そのままフィニッシュ。派遣標準II(1国2名の世界ランク16位相当)を0秒04上回る51秒43の自己ベストで初優勝を果たした。
※写真上=見事、個人の派遣標準突破を果たして初優勝を飾った水沼
写真◎毛受亮介(スイミング・マガジン)
近年、地方の雄として力をつけてきた新潟医療福祉大勢。今大会でも各種目で多くのファイナリストを輩出する中、水沼は同大史上初の世界選手権代表選手となった。
水沼は栃木県出身で大学入学後に同大を率いる下山好充監督の下、徐々に成長。過去2年は男子自由形の松井浩亮、女子自由形の佐藤綾と並び、同大勢のトップスイマーとして日本代表入りを狙ってきた。そして今大会、ついに大きな目標を成し遂げた。
リオ五輪男子400m個人メドレー金メダリストの萩野公介(ブリヂストン)は作新学院高時代の2学年上の先輩。2012年、当時高校1年生だった水沼は、ロンドン五輪で高校3年生だった萩野が400m個人メドレーで銅メダルを獲得したときの姿は強く印象に残っているという。
今大会を欠場した萩野について、水沼は「萩野先輩はずっと雲の上の存在で、その背中を見て、自分もいつか大きな舞台で戦えるような舞台に立てるようになればいいなと思っていた。今は萩野先輩はつらい時期かもしれませんが、後輩として自分が頑張って少しでも元気づけられればと思っています」と語った。
水沼は男子100mバタフライでは実に4年ぶりの派遣標準II突破者に。世界のレベルに後れを取ってきた種目だけに、7月の世界選手権での活躍が楽しみである。
文◎牧野 豊(スイミング・マガジン)
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