昨年まで池江璃花子(ルネサンス)が3連覇してきた女子100mバタフライ。その池江が闘病のため日本選手権欠場となる今年、最も優勝に近い位置にいるのが相馬あい(中京大3年)である。
※写真上=大学2年で初の全国優勝、その翌年は日本代表を経験した相馬。今季は世界レベルへの飛躍を誓う
写真◎小山真司(スイミング・マガジン)
2017年9月の愛媛国体、相馬が二十歳となったその日に同種目で自身初の全国大会優勝を果たしてブレイクスルー。この勢いに乗り、昨年5月のジャパンオープン後に追加選考で日本代表入りした。しかし、勢いがもってくれたのはそこまで。6月以降はコンディションを落とし、8月のパンパシフィック選手権とアジア大会では自己ベスト更新ならず。「苦しかったです。でも、こういう経験ができたのも代表に入れたから」と振り返ったが、国際大会で戦い抜く経験も、体力も足りていなかった。12月には世界短水路選手権に出場したが、ここでも世界との差を痛感した。そこでまずは泳力も体力も大幅な底上げが必要と考え、年末年始の合宿から徹底的に泳ぎ込んできたという。
「世界で戦うためにはベースが必要だということがよくわかりました。私は短距離種目ですが、かなりの距離を泳ぎました。体力レベルが上がっていることを実感しています」
その上で日本選手権で目指すタイムは「56秒台」だという。代表入りの基準となる派遣標準Ⅱは57秒45で、相馬の自己ベストは58秒03。目標とする56秒台には自己ベストからやや開きがあるように思えるが…こんな思いがあるという。
「世界短水路でダリアさん(ケルシー、米国/優勝)に負けてしまったので世界選手権で勝ちたいなというのがあります。そのためには(長水路で)56秒台は出しておきたいんです」
代表に名を連ねるだけで息切れした昨年の二の舞は踏みたくない。女子100mバタフライ決勝は大会2日目の4月3日。世界を知った遅咲きの21歳が、高い目標を掲げ、初の派遣標準突破に挑む。
文◎佐藤温夏(スポーツライター)
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