※写真上=昨年11月のワールドカップ東京大会で大橋悠依と健闘をたたえ合うホズー(左)も、FINAの新設大会に参加を表明
写真◎井出秀人(スイミング・マガジン)
国際水泳連盟(FINA)が1月に発表した新たな賞金大会「チャンピオンズ・スイム・シリーズ」は、4月27、28日に中国・広州、5月11、12日にハンガリー・ブダペスト、5月31日、6月1日に米国・インディアナポリスと3都市で開催される。FINAは開催発表と同時に、オリンピックと世界選手権のメダリスト、世界記録保持者、FINA世界ランキング1位の選手たちへ同大会出場への招待状を送っていたが、多くの著名な選手たちが出場の意向を示していると、2月15日にホームページで伝えている。
同大会は毎年、夏の国際大会終了後からスタートするワールドカップシリーズと並ぶFINA公認の賞金シリーズ大会となるが、その豪華さはワンランク上のもの。各種目の1位から4位はそれぞれ1万ドル(1米ドル=110円/約110万円)、8000ドル、6000ドル、5000ドルの賞金が付けられるなど、賞金総額は300万ドル(約3億3000万円)に上り、そのほか選手の渡航費や滞在費も80万ドル(約8800万円)以上の予算を確保しているという、選手にとっては魅力的な大会となっている。
出場を表明している選手は、『鉄の女』カティンカ・ホズー(ハンガリー)をはじめ、男子平泳ぎのアントン・チュプコフらのロシア勢、男子背泳ぎの徐嘉余らの中国勢などが名を連ねており、今後も増える見通しだ。
このシリーズ大会新設の背景には、欧州の企業家が立ち上げたISL(国際水泳リーグ)の存在があるといえる。ISLは総額80万ドル(約8800万円)の賞金大会を昨年12月に開催予定だったが、FINAがこの大会を承認しない立場を表明したため、開催中止に。これを受け、ISLの大会に参加を表明していたホズーや男子平泳ぎのアダム・ピーティ(英国)らがFINAに対して批判的なコメントを残し、訴訟問題にまで発展していた。その後、FINAがISLを認める立場を表明し態度を軟化させたが、独自にISLに匹敵する賞金大会を開催することで、世界のトップ選手(主にプロスイマー)とのあつれきを解消、またISLの台頭を防ぐ狙いもあると推測できる。
いずれにせよ、夏の世界選手権前の前哨戦として、世界の注目を集める大会になることは間違いない。招待資格を持つ日本選手の出場は現在のところ、その有無を含めて公表されていない。4月上旬に日本選手権があり、5月下旬はジャパンオープンがあるためインディアナポリス大会への出場はタイミング的には厳しいかもしれないが(1カ所だけ出場可能か否か等は不明)、申し分ない舞台だけに、今後もエントリー情報にも注目していきたい。
文◎牧野 豊(スイミング・マガジン)
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