
※世界トップクラスへと足を踏み入れた池江
写真◎毛受亮介/スイミング・マガジン
12日まで行なわれていたパンパシフィック選手権(パンパック)の女子200m自由形と100mバタフライで日本記録を更新した池江璃花子(ルネサンス/淑徳巣鴨高3年)。優勝した100mバタフライでは今季世界最高の56秒08をマーク、目標としている55秒台突入は目前だ。19日から始まるアジア大会の競泳でどんな泳ぎを見せるか期待は高まる。
パンパックで素晴らしかったのは前半の50mを25秒89の高速で入ったことだ。
「自分的にはそこまで積極的に入っているとは思っていなかったのですが、パワーがついてきて、自然に出たのだと思います」とびっくりした表情で話していたが、4月以降の記録推移、そして本人の発言をたどると日本新を出すための分析と準備を怠っていなかったことがよくわかる。
4月の日本選手権時の50mバタフライの自己ベストは25秒43。その上で、同大会の100mバタフライの前半を26秒12で入ったことについて、『スイミング・マガジン』のインタビュー(2018年7月号)では、「正直言って(50mの自己ベストが25秒43なので)、今は26秒12より速くは入れない」と話しつつも、即座に「でも50mバタフライの記録がもっと上げられるな、って思いるんです」と語っている。
このインタビュー後の5月のジャパンオープン、6月の欧州グランプリと立て続けに自己ベストをマークし25秒11までもってきた。4月以降、懸垂を始めて広背筋の筋力をアップ、プルによる推進力が増したというが、パンパックの2カ月前にはすでに「自然に」スピードアップが図られたと言える。
池江が次に目指すのは55秒台突入だ。後半のイメージは欧州グランプリでマークした自己ベスト(56秒23)のときの29秒86(前半は26秒37)。前半25秒89で入ったパンパックでは「後半は異常なくらいしんどかった」と振り返っていたが、「55秒台はすぐに出ると思います」といたずらっぽい表情で語っていた。
アジア大会はパンパック終了から1週間で迎えることとなり、体力的に厳しいかもしれないが、欧州グランプリの連戦もこれを想定してのもの。泳ぎ慣れた東京と違い、ジャカルタでのレース環境は良いとは言えないが、今の池江ならさらりとやってのけそうな予感がする。
文◎佐藤温夏/スイミング・マガジン
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