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2018-08-17

●競泳・アジア大会展望 酒井夏海 「代表最年少選手」が見せた飛躍 ジャカルタで挑む日本記録更新

※パンパックの100m背泳ぎでは3回、200m背泳ぎでは1回自己ベスト更新した酒井
写真◎毛受亮介/スイミング・マガジン

 パンパシフィック選手権の女子100、200m背泳ぎで高校新記録を樹立した酒井夏海(スウィン南越谷/武南高2年)。今年の日本代表最年少の17歳は、アジア大会ではいよいよ日本記録更新を狙う。

 新記録樹立により近いのは100m背泳ぎだ。パンパックでは決勝、そして400mメドレーリレーで高校新をマーク。最終日のメドレーリレー(第1泳者)でマークした59秒20は、日本記録まであと0秒50に迫っている。「以前はあまり意識していませんでしたが、今は狙っていかなければいけない記録なのかなと思っています」と語っていたが、これは酒井にとっては実はかなりの決意を持った発言だ。

 というのも実は「あまりレースが好きではない」から。泳ぐのは大好きだが、人と競り合ったり勝負するのが苦手で、「できればずうっとただ泳いでいたい」タイプなのだという。だから、パンパックでも特に体力的にキツイ200m背泳ぎの決勝前には「『泳ぐのがイヤだイヤだ』と思ってしまった」という。

 それなのに、200mでも高校新記録が出てしまったというこの状況。もちろんうれしいことはうれしいというが、複雑な心境であるのもうなずける。タイムを伸ばしてうれしい自分と、勝負を好きになれない自分。どちらも本当の自分だから、そこに折り合いをつけられず、すっきりした気分で試合に臨むことがあまりできないようなのだ。

 しかし、パンパック最終日、日本新で銅メダルを獲得した400mメドレーリレーで、新しい励みを見つけた。

「リレーはみんなと一緒に泳げるからすごく楽しいです。これでレースが好きになったというわけではありませんが……、アジア大会もリレーをモチベーションにして、個人でも頑張りたいです」

 山の登り方は人それぞれ。自分の好きなこと、嫌いなことがはっきりしているのも世界で戦っていくためには大切な能力だ。酒井は酒井のやり方で、自分を越えていけばいい。

文◎佐藤温夏/スイミング・マガジン

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