※パンパシフィック選手権は200m自由形から始まる池江。来日する世界トップクラスを相手にどんなレースを見せてくれるか
写真◎毛受亮介/スイミング・マガジン
4月の日本選手権において4種目で6つの日本新をマークした池江璃花子のパンパシフィック選手権は、4月の活躍がフロックではないことを証明する大会となるだろう。池江がエントリーを予定している個人種目は、1日目が200m自由形、2日目100m自由形、3日目に100mバタフライ、そして最終日が50m自由形の計4種目。そこにリレー種目が最大4種目入ってくる可能性があり、タフな4日間となりそうだ。
その中で注目しているのは大会初日に迎える200m自由形である。この種目は4月の日本選手権には出場しなかった種目だが、2月のコナミオープンにて1分55秒04の日本新をマーク。この記録は今季世界ランク5位に位置し、昨夏の世界選手権では2位、リオ五輪は4位に相当するハイレベルなものだった。
その種目になぜ注目しているかといえば、200m自由形の出来、不出来が、池江が最重要とする100mバタフライの伸びを左右する要素を多分に含んでいるから、である。
池江が100mバタフライで課題としているのは前半のスピード。すなわちパワーの部分であるのだが、池江には、50mを25秒11で泳ぐスピードがあり、これは世界と比しても引けを取らない。このスピードを有しているのに前半が抑え気味になってしまうのは、後半にダメージが出て失速することを懸念しているからである。その懸念材料の後半を、前半から飛ばしても失速しないようにする。そこで必要となってくるのがスピード持久力の向上である。それはすなわち、前半から積極的に入り後半も失速せずに泳がなければ好結果は得られないとされる、200m自由形をパーフェクトに泳ぎきるために必要な要素。スピード持久力を向上させるための練習が申し分なくできているかが見えるのが200m自由形であり、ここで日本新、またそれに近い記録で泳ぐことができれば、100mバタフライの後半にも不安なし、イコール、好記録が期待できる、となるのである。
そんな観点から池江の200m自由形は大注目なのだが、それをよりエキサイティングなものにしてくれるのが並み居る強豪たちの存在だ。予選レースへのエントリーが自由という今大会だけに、1国2名の決勝枠に誰が上がってくるかを予想するのは難しいところだが、米国からは、リオ五輪金メダリストで400、800、1500m自由形の世界記録を保持するケイティ・リデキー、そして豪州からは池江と同じく100mバタフライも得意で(2017年世界選手権で銀メダル獲得)200m自由形も世界レベルのエマ・マキーオン。そして豪州の若手からは、400、800m自由形が専門も200mでも4月のコモンウェルス大会で1分54秒85をマークしている17歳のアリアーン・ティトマスが表彰台候補だ。
そして女王・リデキーを破る存在として最有力なのがカナダの18歳、テイラー・ラックである。ラックは背泳ぎも得意な選手で、リオ五輪では400、800mフリーリレーで銅メダルを獲得。当時はまだリレー要員にすぎなかったが、リオ五輪後からぐんぐんと記録を伸ばし、4月のコモンウェルス大会の200m自由形でマークした1分54秒81が今季の世界ランキングでリデキーに次ぎ2位につけるなど期待の新鋭だ。
大会初日の疲労のない状態で迎える200m自由形で日本新の好発進となれば、自ずと100mバタフライにも期待は膨らむ。池江は6月の欧州グランプリで56秒23まで記録を伸ばしており、一方、世界記録保持者のサラ・シェーストレム(スウェーデン)も8月4日の欧州選手権でマークした56秒23がシーズンベスト。まずは自己ベスト更新で今年度の世界ランク1位を目標に、一気に55秒台突入の可能性も秘めている。
文◎桜間晶子/スイミング・マガジン
※アリーナはパンパシフィック選手権2018のゴールドパートナーです。
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