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2018-12-28

箱根駅伝 チーム別展望21 明治大 古豪復活の足掛かりを

箱根駅伝のエントリーメンバーからチーム別に展望する21校目は明治大。今季は阿部弘輝が学生トップクラスの選手へと成長。他でもポテンシャルの高い選手たちが開花の兆しを見せ、箱根路でも上位を狙う。

※写真上=阿部は10000mで今季日本人学生最高をマークした(写真/JMPA)

明治大チームエントリー

明治大      5000mSB   10000mSB
坂口 裕之(4) 13分51秒20 29分55秒09
角出 龍哉(4) 14分28秒72 29分15秒60
阿部 弘輝(3) 14分03秒12 27分56秒45
中島 大就(3) 14分10秒24 28分37秒35
三輪 軌道(3) 14分23秒66 28分53秒36
佐々木大輔(3) 14分30秒09 28分58秒25
斉藤 寛明(3) 14分37秒63 29分21秒48
河村 一輝(3) 14分07秒36  ――
岸  哲也(3) 14分51秒08 30分36秒24
小袖 英人(2) 14分01秒98 28分54秒75
前田 舜平(2) 14分13秒33 29分03秒35
村上 純大(2) 14分33秒09 28分58秒16
酒井 耀史(2)  ――    29分50秒63
鈴木 聖人(1) 14分11秒52 29分12秒71
手嶋 杏丞(1) 14分07秒23 30分23秒08
名合 治紀(1) 14分17秒28 29分34秒93
チーム平均     14分17秒84 29分18秒10
箱根駅伝エントリーメンバーと5000m、10000mの今シーズンのベストタイム(12月14日現在)

秋以降に自己ベスト連発

 明大は2年ぶりの箱根路となるが、エントリーメンバー上位10人の10000mの平均タイムは28分50秒54と、青学大に次いで、23チーム中2位に付ける。これは、11月24日の八王子ロングディスタンスで今季日本人学生最高となる27分56秒45で走った阿部弘輝の記録が大きいが、同日の10000m記録挑戦会でも、三輪軌道、小袖英人、村上純大、佐々木大輔の4人が28分台をマークした。好記録が続出した好条件下での記録なので、もちろんその数字通りの力を箱根でも発揮できるとは限らないが、選手層が一気に厚みを増した印象はある。

 箱根経験者の4年生、田中龍太、東島清純がエントリーから外れたが、箱根予選会、全日本大学駅伝と不出場だったエース格の1人、坂口裕之が復調してきた。また、ルーキーの鈴木聖人、2年生の小袖といった成長株に加え、高校時代に世界クロスカントリー選手権に出場した酒井耀史、中距離ランナーの河村一輝と顔ぶれは多彩で、下級生にも勢いがある。本来なら主軸を担うべき中島大就、前田舜平がなかなか力を発揮できずにいるが、この2人も16人にはきっちりと名を連ねた。

見えてきた目標の5位

 今や学生長距離界を代表する選手に成長した阿部がチームの中心だ。昨年度は苦しんだ時期もあったが、不振を脱してからは安定してハイパフォーマンスを見せている。トラックを得意とし「3区のコースが一番自分の力が発揮できる」と自己分析するが、もちろんエース区間の2区も想定して準備をしてきた。チームが不出場だった前回は、鶴見中継所で走路員を務め、学法石川高時代にチームメイトだった相澤晃(東洋大)ら各校のエース格が走り出すのを見送った。「来年はここに立たなければならない、エース区間で勝負しなければならない、と思って見ていた。2区を任されたら、それに見合った走りをしたいと思います」と阿部はエースの役割を全うする覚悟で臨む。

 全日本で1区を任された鈴木は、箱根でも重要区間を任されることになりそう。「上りもいけそうな感じもしているし、正直、2区でもいいんじゃないかなと思っています」と山本佑樹駅伝監督が2区起用をほのめかすほど期待は大きい。鈴木自身、「前半区間でチームの流れを作りたい」と意気込んでいる。

 そして、坂口も箱根に向けて調子を上げてきた。夏明けから、練習の継続に重点を置いて、これまでの取り組みをがらりと変えたという。走行距離は減ったが、新たな取り組みが実を結びつつある。「任された区間でしっかり区間賞を狙えるように、自信をもってスタートラインに立ちたい」と、学生最後の駅伝で快走を誓う。

 また、山上りの5区は複数名の候補選手がいるが、入学時から山上りを志願していたという酒井が有力だろう。昨秋以降ケガに苦しんでいたが、上尾ハーフをチームトップ(1時間3分43秒)で走っており、調子を上げている。

 全日本は、終盤に順位を落としたものの、シード権争いを繰り広げたことで、選手たちは自信を深めた。また、着実にチーム力が向上しているのを示した。

「年度当初に5番以内に入るという目標を立てていました。それが見えてくるまで口にしませんでしたが……。少し現実味を帯びてきたと思うので、自分たちを鼓舞する意味でも“5位以内”と宣言したい」と、主将の坂口。4年ぶりのシード権はもちろんだが、さらにその上を見据えている。
文/和田悟志

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