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2018-12-19

箱根駅伝 チーム別展望2 帝京大、3位以内へ挑戦

箱根駅伝に出場する23チームをチームエントリーから展望する2校目は帝京大だ。これまでは中野監督の手腕によって叩き上げられてきたチームに、さらにレベルの高い選手たちが集まり、今季、出雲駅伝、全日本大学駅伝でともに過去最高成績を残した。今回、目標に掲げる3位以内も手に届くところにある。

※写真上=全日本大学駅伝1区で先頭争いをする竹下(中央、写真/中野英聡・陸上競技マガジン)

帝京大チームエントリー

帝京大      5000mSB  10000mSB
畔上 和弥(4) 14分37秒85 30分12秒82
竹下  凱(4) 14分21秒91 29分17秒90
濱川  駿(4) 14分39秒78 29分32秒60
横井 裕仁(4) 14分00秒18 28分32秒30
岩佐 壱誠(3) 14分02秒92 29分45秒14
岡  智洋(3) 14分28秒44 29分46秒21
小森 稜太(3)   ――   29分57秒57
島貫 温太(3) 14分06秒19 28分30秒52
田村 丈哉(3) 14分29秒33 29分41秒49
平田幸四郎(3) 14分20秒49 29分45秒62
吉野 貴大(3) 14分44秒01 29分24秒24
小野寺 悠(2) 14分04秒61 29分14秒22
谷村 龍生(2) 14分08秒08  ――
鳥飼 悠生(2) 14分20秒83 29分45秒58
星   岳(2) 14分09秒56 29分12秒09
遠藤 大地(1) 13分59秒85 28分34秒88
チーム平均     14分18秒27 29分24秒88
※箱根駅伝エントリーメンバーと5000m、10000mの今シーズンのベストタイム(12月14日現在)

激しいチーム内競争

 帝京大は、エース格の畔上和弥や主将の竹下凱ら、前回経験者の9人が順当にエントリーされた。また、出雲駅伝、全日本大学駅伝とともに過去最高の5位だったが、両駅伝を走ったメンバーも全員、16人に名を連ねている。

 過去2年連続で、箱根駅伝の3区を走った濱川駿が故障から復活し、調子を上げてきているのも好材料だ。ハーフマラソン1時間2分55秒の田村岳士、同1時間3分台の山根昂希、吉田律哉がエントリーされなかったが、それほどまでにハイレベルなメンバー争いを勝ち残った16人が選出されたと、むしろプラスに捉えていいだろう。

 2年前は10000m28分台の選手が一人もいなかったが、今回は4人も擁する。島貫温太は28分30秒52の帝京大記録を樹立。1年生の遠藤大地がマークした28分34秒88は、今季日本人ルーキー最速だ。エントリーメンバー上位10人の10000mの平均タイムは28分57秒72と、23チーム中5位。20回目出場の節目の年に、かつてない戦力の充実ぶりだ。秋以降の勢いを見れば、帝京大が上位争いを掻き回したとしても、何ら不思議はない。

箱根ではエースの走りが期待される畔上(写真/JMPA)

上位戦線をかき回す存在に

 出雲、全日本が5位、10000mの上位10人の平均タイムも5位、中野孝行監督の年齢は55歳と、今年度は“5”に縁がある(ちなみに、2016年は“10”に縁があった)。だが、チームが掲げる目標は3位以内だ。
 12月10日の選手エントリーの時点では、「区間配置は全く決まっていない」と中野監督は話していたが、花の2区は、2年連続で畔上が濃厚だろう。9月に一時期戦列を離れており、全日本は本来の力を発揮しきれず順位を落としたが、それでも7区7位にまとめた。

 夏は、マラソン出場を意識して走り込み、スタミナは昨年度以上だ。前回は2区11位と悔いが残る走りになったが、「前回は、権太坂や最後の坂を意識しすぎて、前半弱気な走りになった。

 今回はある程度前半から攻めていけるように準備してきた」と、畔上は前回からの成長を誓う。全日本1区2位と好走した竹下が、箱根でも1区で同様の走りを見せれば、序盤から上位争いに加わってきそうだ。また、安定感が増した岩佐壱誠も重要な局面に配されそうだ。

 1年生の遠藤の起用法にも注目だ。過去には、畔上、高橋裕太(現・大塚製薬)といった、後にチームの柱となる選手は、ルーキーイヤーに3区を走っているが……。

 そして、5区は、前回区間8位の平田幸四郎だけでなく、4月に起伏の激しい日本平桜マラソンで圧勝した小野寺悠もおり、攻略の目処は立っているだろう。

 とはいえ、帝京大が本領を発揮するのは復路だ。

「往路が5位以内だったら面白い。6区で序盤を上り切って、最高点から箱根ドールハウス美術館までの視界が開けたところで、前に見えているチームは全部捕らえたい」

 そんな言葉を指揮官が口にするのも、自信を感じているからなのだろう。復路では、上尾ハーフを1時間2分20秒で走った星岳(2年)、同レースで1時間2分34秒の小森稜太といった選手が、単独走で堅実な走りを見せてくれそうだ。

 そして、切り札となるのが横井裕仁だ。過去2年は6区で好走しており、今回も6区に起用されれば当然、大きなアドバンテージを作れる。だが、ユーティリティーな選手でもあり、前回同様に、どの区間でも走れるように準備をしてくるだろう。

 今回も優勝候補になかなか帝京大の名が挙がらないが、今回の最大のダークホースと見ていい。復路にも相当な戦力を残せるだけに、あれよあれよといううちに、気がつけば、レース終盤に帝京大が上位争いを繰り広げているかもしれない。
文/和田悟志

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