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2018-11-25

【陸上】阿部弘輝が27分台突入 箱根経由世界への一歩に

11月24日、八王子ロングディスタンスが法大多摩キャンパスにて開催された。
男子10000m6組に出場した阿部弘輝(明大3年)は組3着の27分56秒45(今季日本人学生最高)をマーク。
来る箱根駅伝へ好感触をつかむと同時に、来年のドーハ世界選手権代表選考レースとなる日本選手権へ意欲を燃やした。

※写真=八王子ロングディスタンスで、阿部弘輝が27分56秒45の好タイムをマーク(写真/大泉謙也)

“花の2区”候補にめど

『54、55、56……』

 28分切りを確信したのだろう。阿部弘輝(明大3年)は両拳を天に突き上げ、雄叫びとともにフィニッシュラインに飛び込んだ。

 11月24日、八王子ロングディスタンス10000m6組に出場した阿部は、27分56秒45と従来の自己ベストを約30秒短縮し、組3着でフィニッシュした。

 この記録は今季日本人学生最高。このレースで先着した先輩の鎧坂哲哉(旭化成)の保持する明大記録に12秒15差まで迫る快走だった。

「夏に故障したこともあり、箱根駅伝予選会、全日本大学駅伝、八王子ロングディスタンスをセットで考えていました。箱根へ向けて、この大会を良い感覚で上がれたら、と」(阿部)

 今年度からハーフマラソンの距離に延伸された箱根予選会では、全体8位の1時間02分16秒。2区を任された全日本では区間賞を獲得した荻久保寛也(城西大3年)に1秒差の区間2位につけた。

 今大会に向けた直前の練習でも感覚が良く、27分台を狙っていたという。

 この記録の価値を強調するのが、山本佑樹監督だ。

「箱根本戦もありますから、10000mレースに向けてガチガチに調整してきたわけではありません。そのなかでこの記録が出せたのは、力が付いた証拠でしょう。本人にとっても、チームにとっても大きいと思います」

 2年ぶりの箱根出場となる明大。シード権獲得を狙ううえで、“花の2区”候補の好調は好材料といえる。

95回箱根駅伝では、往路主要区間での出走が確実視される阿部

世界選手権代表を目指し

 阿部自身、箱根はもちろん、さらにその先を見据えている。それは、世界大会にほかならない。2019年7月には、ユニバーシアード・ナポリ大会、9月にはドーハ世界選手権が控える。

「27分台に突入したとはいえ、世界を見渡せば、スタートラインに立ったにすぎません。あくまでも選考会を突破してからの話ですが、ユニバーシアードでは優勝したいですし、ドーハ世界選手権の代表の座も狙いたいです」

 自身の立ち位置を踏まえつつ、強い意欲をのぞかせる。

 前回のロンドン世界選手権10000mの参加標準記録は、27分45秒00。「おそらく今回の標準記録も45秒あたりになるでしょうから、日本選手権ではそこを目標にしたい。箱根が終わったら、ゆっくり休ませて、日本選手権へ照準を絞っていきます」と山本監督は全面的にバックアップする構えだ。

 今年の日本選手権では5000mに出場し、14分25秒18で5位入賞を果たした。

 ドーハ世界選手権10000m代表の座を懸けた来年の日本選手権へ向けて、「勝つことは難しいかもしれませんが、今度は表彰台には上りたい」と阿部は思いを馳せる。

 箱根経由世界へ――。日本人学生トップランナーに躍り出た阿部弘輝の挑戦が始まる。

文◎石井 亮

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