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2019-12-23

【アメフト】差を分けたラン守備  ノジマ相模原がシルバースター破り X1スーパー残留を決める

 アメリカンフットボールの「Xリーグ」は、12月22日、富士通スタジアム川崎で、トップリーグの「X1スーパー」8位のノジマ相模原ライズと下位「X1エリア」1位のアサヒビールシルバースターが入替戦で対戦し、ノジマ相模原がシルバースターを破ってX1スーパー残留を決めた。

【ノジマ相模原vsシルバースター】力強い走りで、ノジマ相模原オフェンスをけん引し続けたRB宮幸=2019年12月22日 撮影:小座野容斉

ノジマ相模原ライズ○32-20●アサヒビールシルバースター(2019年12月22日、富士通スタジアム川崎)

 終盤に地力の差を見せたノジマ相模原が、シルバースターを振り切った。
 先制はノジマ相模原。第1クオーター(Q)2分にK鈴木健太が30ヤードFGを決めた。シルバースターは次のドライブ、QBケダリアス・ハンフリーズのパスで攻め込み、最後はハンフリーズからRBジョナ・ホッジスへのタッチダウン(TD)パスで逆転した。しかしノジマ相模原は、第2Q、RB東松瑛介が1ヤードを飛び込んで逆転TD。すかさず、シルバースターは、ハンフリーズからWRリッジ ・ジョーンズへの45ヤードロングパスでTD、再びリードを奪った。ノジマ相模原は第2Q9分に、RB宮幸祟が8ヤードを走ってTD、17-14とリードして後半へ折り返した。

【ノジマ相模原vsシルバースター】第2Q、シルバースターのQBハンフリーズからWRジョーンズに45ヤードのTDパスが決まる=2019年12月22日 撮影:小座野容斉

【ノジマ相模原vsシルバースター】第2Q、ノジマ相模原RB東松が逆転のTD=2019年12月22日 撮影:小座野容斉

 第3Q、シルバースターはK梅垣光理のFGで同点とするが、同10分、ノジマ相模原はQBジミー・ロックレイから宮幸へのスクリーンパスが完璧に決まった。宮幸は約70ヤードを走り切ってTD(その後のキックは失敗)、ノジマ相模原が23-17とした。
 第4Q、シルバースターはエンドゾーンまで4ヤードと迫り、TDで同点、キックで逆転のチャンスとなるが、スナップミスと反則などで後退、FGで終わってしまう。結局この逸機が響いた。

【ノジマ相模原vsシルバースター】第4Q、シルバースターQBハンフリーズに執念のタックル、TDを許さなかったノジマ相模原DL西尾=2019年12月22日 撮影:小座野容斉

 残り5分を切った時間帯で、シルバースターはノジマ相模原の好パントで、自陣2ヤードからのオフェンスに。シルバースターはホッジスのランに出たが、ノジマ相模原ディフェンスがエンドゾーン内でタックルしセーフティーでリードを5点差に。さらに直後のオフェンスではRB森本紘介が35ヤードを走ってTDを奪い、勝利を決定的とした。

【ノジマ相模原vsシルバースター】第2Q、シルバースターのQBハンフリーズにプレッシャーをかけサックするノジマ相模原LB梶浦 とDL西尾=2019年12月22日 撮影:小座野容斉

ホッジス封じ込め、宮幸が走り勝った

 前半はシーソーゲームに見えた両雄の対戦、しかし、主導権を握っていたのはノジマ相模原だった。原動力となったのはノジマ相模原のランディフェンスだ。強力なDLに加え、オールXリーグ選出のLB田中喜貴が率いるLB陣、さらにDB陣がしっかりとランサポート、シルバースターのランを封じ込んだ。とくにセカンダリーの速い上がりと、しっかりとしたタックルが、ゲインを許さなかった。
 今季、しり上がりに調子を上げてきたシルバースターのRBホッジスは、13回42ヤード。トレードマークのロングゲインは最長で12ヤードに抑え込まれただけでなく、第4Qにはセーフティーの屈辱も味わった。
 ノジマ相模原ディフェンスのタックル・フォー・ロスは8回。シルバースターは、ハンフリーズやRB柳澤拓弥も時折ゲインはするものの、タックルでロスすることが多く、チームのランは38ヤードに終わった。

【ノジマ相模原vsシルバースター】シルバースターRBホッジスを止めるノジマ相模原ディフェンス=2019年12月22日 撮影:小座野容斉.

 対照的に、ノジマ相模原はランが好調、今季成長した森本が69ヤード、35歳とは思えない切れのある走りの宮幸は64ヤードなどでラン144ヤード。さらに、第3Qの宮幸のTDパスキャッチは、ほとんどランプレーに近い。両チームのランは実質的には5倍近い差がついた。

【ノジマ相模原vsシルバースター】第3Q、スクリーンパスから70ヤード近く走り切ってTDを決めたノジマ相模原RB宮幸に走り寄るWR伊藤=2019年12月22日 撮影:小座野容斉

 シルバースターのQBハンフリーズのパフォーマンスは決してロックレイに劣らなかったが、ランを封じ込まれてパスに頼る1元的な攻撃となり、サードダウンロングの局面が多発。それでも、前半はなんとかTDを奪っていたが、後半は手詰まりとなり、第4Qのゴール前4ヤードも取り切ることができなかった。

来季こそ、本来の力を

 今季、シーズン中の立て直しに成功し、LIXILディアーズ、アサヒ飲料チャレンジャーズを撃破して勢いに乗るシルバースターが、この入れ替え戦でも有利とみる関係者やファンは多かったと思う。筆者も率直にいえば、同様の予想をしていた。そのシルバースターに、しっかりと勝ち切った事実が、ノジマ相模原の本来のポテンシャルを裏付けた。
 しかし、手放しで賞賛はできない。これだけの実力を持ったチームが、なぜ入れ替え戦出場となったのか。ターンーバー、判断ミス、反則など「やってはいけない」フットボールが、今シーズン中は頻発したからだ。
この試合でも
◎4thダウン残り6ヤードのシルバースターのパントで、ランニング・イン・ツー・ザ・キッカーの反則。残り5ヤードだったらファーストダウンを更新されていた
◎第2Qのラストプレーで、ヘイルメアリーパスを決められたが、シルバースターの反則で取り消しになった
◎途中から雨が強くなってきた中でのRBのファンブルでターンオーバー
◎第3QのTD後のキックで、ボールをきちんと置くことができず、失敗。6点差としてしまった
などなどのミスが出た。

【ノジマ相模原vsシルバースター】第2Qのラスト1プレー、シルバースターのヘイルメアリーパスは成功したが、反則で取り消しに=2019年12月22日 撮影:小座野容斉

 この試合、ライズが勝てたのは、これらのミスが単発となっていて、連鎖することがなかったからだ。そこをしっかり反省しなければならない。結果オーライでは、また同じことの繰り返しになる。
 ノジマ相模原には、入れ替え戦は似合わない。4強、さらにドームを目指してほしい。それだけの実力がある。来季こそ、それを証明してほしい。【写真・文:小座野容斉】

【ノジマ相模原vsシルバースター】OLにしっかり守られてパスを狙うノジマ相模原QBロックレイ=2019年12月22日 撮影:小座野容斉

【ノジマ相模原vsシルバースター】第2Q、ノジマ相模原RB宮幸がTD=2019年12月22日 撮影:小座野容斉

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