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2020-10-08

【ボクシング】“新生”勅使河原がKOで東洋太平洋V4 移籍初戦を飾る

勅使河原(右)の強烈な右ストレートが河村のアゴにヒット

東洋太平洋スーパーバンタム級チャンピオンの勅使河原弘晶(三迫)は8日、東京・後楽園ホールで同級15位の河村真吾(ミツキ)とタイトルマッチ12回戦を行い、6回1分40秒TKO勝ちで4度目の防衛に成功した。IBF世界3位の勅使河原は10連勝で6連続KO勝ち。

  勅使河原は序盤から慎重に試合を進めた。加藤健太トレーナーと練習してきたフットワークを駆使し、出入りしながら力強い右ボディを打ち込み、素早いワンツーを入れていく。4回終了後の途中採点はフルマークの3-0。5回も足を使いながら的確に上下に打ち分けて相手を消耗させると、6回に一気に勝負をかける。連打で相手の動きを止め、腰が落ちたところに右ストレートでダウンを奪う。河村は執念で立ち上がってきたが、すぐさま襲いかかって、ラッシュ。最後は左フックでキャンバスに沈めたところで、レフェリーが割って入り、試合をストップした。

 三迫ジムに移籍しての第1戦を飾った勅使河原は「ほっとしている。勝って当たり前と思われていましたが、それほど怖いものはない。移籍させてくれた輪島会長、三迫ジム、加藤トレーナーほか、多くの人に感謝しています」と安堵の表情を見せた。

 試合については「自分の思い描いたとおりの展開。無理に倒すつもりはなかった。痛めつけて痛めてつけて、終盤に弱ってくると思っていた。加藤さんに言われたとおりの作戦を遂行した。右目の上を切ったのは余計でした(バッティング)。6回から10回の間で倒そうと思っていた」と振り返った。

 新たに師事する加藤トレーナーとは「フィーリングが合う。僕のことを分かってくれている。セコンドに帰れば、修正してくれる。試合前も自信しかなかった。いままでは自信がなくて、自分を自分で奮い立たせていた。きょうは自信がみなぎる状態でリングに上がれた」と感謝の言葉を重ねた。

 変わった点としては「足が使えるようになった」ことを挙げる。「バックステップができなかったけど、できるようになった。これまでは攻めたら攻めたりきりだったが、距離をとるボクシングができるようになった。前はもっとパンチをもらっていたけど、打たせずに打つボクシングに変わってきている」

 

悲願の世界挑戦に向け決意を新たにした勅使河原

 今後に向けては「きょうの試合を通して、伸びしろがみえた。足りないものものわかった。いままでだったら試合が終われば、遊びたい、休みたい、と思ったけど、いまは世界戦に向けて、早く練習したいという意欲が強い。これからの自分が楽しみ」と、意識の変化を強調。試合の前日には輪島功一会長からエールをもらったと言い、「あした報告にいきます」と嬉しそうに話した。「1日でも早く加藤さんのボクシングをマスターしたい。世界を取り、防衛していけるまで、日々精進します」と、新生・勅使河原は新たな環境での躍進を誓った。

取材◎杉園昌之
写真◎馬場高志

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