close

2020-10-20

3試合ぶりのTKO勝ちで、川浦龍生は無傷の8連勝

シャーブな左ストレートを決める川浦。一気の詰めで見事にTKO勝利を奪った

全ての画像を見る
19日、東京・後楽園ホールで行われた『アンタッチャブルファイト31』のメインで52.5kg契約8回戦に臨んだ川島郭志会長の秘蔵っ子、日本スーパーフライ級5位の川浦龍生(川島)がノーランカーの吉野ムサシ(八王子中屋)に2回1分55秒TKO勝ち。一気に3度のダウンを奪う快勝でプロデビュー以来、無傷の8連勝(5KO)を飾った。

鮮やかに詰め切って「成長が見せられた」と川浦

 元WBC世界スーパーフライ級王者で、“アンタッチャブル”の異名をとった川島会長と同じく、技巧とディフェンスに定評のあるサウスポーの川浦だが、この日は仕掛けが早かった。開始からワンツーを上下に打ち込んで突っかけてくる吉野を冷静に受け流し、シャープなカウンターパンチで展開を落ち着かせる。初回終盤には、逆にプレッシャーをかけ、左ボディを狙い打った。「ちょっと腹が効いたな」と手応えを感じ取った川浦は2回も圧力をかけ、吉野の攻めに対し、ブロックからリターンをテンポよく決める。その左ストレートのリターンで、きれいに倒した。

 ここからは「いつも詰めきれないんで、たまには成長を見せられたら、と思って(笑)、そのまま押しきりました」と、3戦ぶりのKO勝利に一直線だった。タイミングのいい左アッパーでぐらつかせ、フォローの左右でダウンを追加。さらに川浦がリターンの左を決めると、ややあって力なく吉野が倒れこみ、ここでレフェリーがストップした。吉野は15戦9勝(6KO)6敗。

3度目のダウンとなった吉野にストップがかかる

快勝にタイトル戦へと意欲も膨らむ

 新型コロナウイルスの影響で当初4月の予定だった試合が6月になり、さらに延びて、11ヵ月ぶりのリングになった。これまでは試合のたびに拳を痛め、思うように攻められないストレスがあったそうだが、この期間を拳の治療にあて、練習のときから師弟でバンデージの巻き方を試行錯誤したことで「だいぶストレスがなくなった」(川島会長)と、延期がプラスに働いた。

 スーパーフライ級は、日本王者の中川健太(三迫)、WBOアジアパシフィック王者の福永亮次(角海老宝石)が空位の東洋太平王座もかけて戦う3冠王座戦が12月14日(後楽園ホール)に決まっている。「今日の出来はよかったけど、そのレベル(タイトル戦線)で戦えるように、課題を見てやっていきたい」と川島会長。タイトルの動向もうかがいながら「決まったら、そこに向けてやるだけだし、チャンスがあればいつでも」と続けた。いつも控えめな川浦も「試合は観に行こうと思ってますし、どっちもパワーのあるサウスポーで、どっちが勝つかはわからないけど、その勝者に勝てるように頑張りたい」と意欲をのぞかせた。

 中央大では主将も務めたが、アマチュア時代は無冠に終わっている。「ボクシングをやっているからには、日本を獲って、世界を獲るのが夢」と、同じ徳島出身の先輩王者である川島会長と同じ道を目指す川浦。中央大主将の座を受け継いだ1学年下の東洋太平洋スーパーフェザー級王者、三代大訓(ワタナベ)は12月26日に元WBO世界スーパーフェザー級、伊藤雅雪(横浜光)との大一番を控える。口にこそ出さないが、大いに刺激を受けているはずである。

3年連続新人王挑戦失敗の星は4回に形勢逆転し、KOに持ち込んだ

 セミのスーパーライト級6回戦は、星大翔(角海老宝石)が小林柾貴(イマオカ)に4回1分21秒KO勝ち。両者ともに昨年の新人王戦にエントリー。全日本新人王になる本多航大(川崎新田)に敗れた者同士の再起戦は、長身182cmの小林が右ストレートから上下の打ち分けで先手を取る。星も鋭い右アッパーなど、時折、巧打は決めるものの、押され気味の展開が続いた。

 が、迎えた4回、星が思いきりよく打ち込んだクロス気味の右ストレートで形勢逆転。フラつく小林を逃さず、星が追撃の右を痛打すると小林は前のめりにキャンバスに落下。立ち上がったが、レフェリーはテンカウントを数えあげた。幼いころから空手、キックを経験し、高校から転向したボクシングでも全国大会出場。デビュー前から期待されていたが、3度チャレンジした新人王は獲得ならなかった。特に昨年は初回TKO負けを喫し、ショックは大きかった。つかんだ勝利をきっかけにしたい。星は8戦4勝(3KO)2敗2分。小林は7戦5勝(3KO)2敗。

文◎船橋真二郎  写真◎小河原友信

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事