2年ぶり20回目の出場となった明徳義塾(高知)。8月8日の第2試合対藤蔭(大分)戦を6対4で制し、2回戦へとコマを進めた。

※上写真=明徳義塾・馬淵監督は藤蔭との1回戦を突破へと導いた。監督通算勝利数で、歴代4位タイの51勝としている
写真◎宮原和也

選手育成論に見えた変化

 甲子園における「監督通算勝利」で50勝以上を挙げたのは6人。
 昨春のセンバツで50勝(歴代6位)をマークした明徳義塾・馬淵史郎監督が2年ぶりの夏舞台へ戻ってきた。

 2002年夏に全国制覇へ導いた63歳のベテラン指揮官は今回、ウエートトレーニングを本格導入。
 「力強い打撃、速いボールはフォームでつくり出すべき」と、これまでは重点にしてこなかったが、これも時代の流れか。

「ウチは『ちびっ子軍団』。優勝したときも平均身長は172センチ。(出場校の中で)一番、小さかった。でも、最近は全国大会に来ると体の大きさにびっくり。でかくても動けるし……。食生活も変わってきた」

 長打よりもバント、走塁を徹底し、バッテリーを軸にきっちり守るのが明徳の伝統だ。野球のスタイルを変えるつもりはないが、昨年は「ケガ人が多かった」ことが、ウエートトレーニングを取り入れるきっかけとなった。

「故障防止のために、筋力を鍛えていく」

 専門のトレーナーを招いて、上半身と下半身を一日ごとに強化。
 ただし「ボールを使って、ランニングをして」(馬淵監督)という従来からの基本理念は変わらない。あくまで基礎体力をつけることを目的としている。

 練習中には補食を取るようにし、丼飯を食べて、空腹の時間がないように工夫。

「3年生は短い期間になったが、1年生には3年間で体づくりをさせたい。実際に、効果が出るかは分かりませんが……」

「野球はうまくやったら、分からんのですよ」

 2年ぶりの夏の甲子園。藤蔭(大分)との1回戦では6対4で初戦突破。
 馬淵監督はこの日の1勝で横浜(神奈川)・渡辺元智氏と帝京(東京)・前田三夫氏の51勝に並ぶ歴代4位タイとした。

「長いことやっていますからね。体力は落ちたかもしれないが、まだ、気力はある。気力がある限りは続けていこうと思う」

 63歳で真夏の猛暑はこたえそうだが「ゲーム中は暑い、とかはない。集中していますから。選手も大観衆で、アドレナリンが出て良いプレーもできる。何度来ても、甲子園は良いですよ」と笑顔を見せた。

 6安打6得点。明徳義塾らしい、スキのない攻撃で着実に得点を積み重ねた。
 また、「継投は早いほうがいい。打たれて代えることは誰にでもできる」と、ピンチを広げる前に3投手を巧みにリレー。甲子園で多くの修羅場を積んできた熟練の采配術と言えるだろう。

 2回戦は強力打線が自慢である智弁和歌山(和歌山)との強豪対決が控えている。

「手応えなんてないですよ。力は智弁和歌山のほうが上。食らいついていくだけ。予選(高知大会)も食いついて勝ってきた。野球はうまくやったら、分からんのですよ」

 藤蔭との1回戦前も、相手投手の投球タイムを計測するなど、細部まで研究を重ねてきた。それだけに、報道陣から「秘策は?」と聞かれるのも当然のことだ。
 しかし、そこは策士であり「ないですよ(苦笑)」とけむに巻いた。いつもながら、心の底を絶対に見せないスタイルは、むしろ不気味と言える。

 相手が「強打・智弁」だけに、ウエートトレーニングの成果を発揮していきたいところだが、馬淵監督は「即効性」があるとは思っていない。長期的視野で指導する名将は試合前の取材で「あと2年、見とってください」と、大勢が取り囲んだ報道陣を笑わせた。

 現在の1年生が最上級生になったときに、どんな野球を見せるのか? パワーと巧さの融合か?
 指揮官の情熱は衰え知らずだ。

文◎岡本朋祐(週刊ベースボール編集部アマチュア野球班)

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