8月9日の第2試合、初出場の飯山(長野)を相手に20対1と快勝した仙台育英(宮城)。大量得点のきっかけとなったのは、三塁コーチの記録に残らない活躍だった。

※写真上=仙台育英の三塁コーチを務めた岩間大翔。7回には代打として打席に立ったが、惜しくもヒットは出なかった
写真◎BBM

武器としての三塁コーチ役

 相手が安打を1本打つたびに、こっちが三振を1つするたびに、一塁アルプスだけでなく三塁内野席からも拍手が沸き起こる。
 対戦相手の飯山は春夏通じて初出場の公立校、完全に甲子園の観衆を味方につけていた。

 2回までは互いに無得点、3回表に1点を先制されると一段と大きな歓声が沸き上がった。早くも黄色信号が灯りかけた仙台育英だが、チームの危機を三塁コーチの好判断が救った。

 直後の攻撃で二死一、三塁から千葉蓮が三塁線を破る適時二塁打を放ち試合を振り出しに戻す。
 このとき、飯山のサードは三塁につき、ショートは三塁後方でボールサードに備えている。しかし、レフトからの送球はダイレクトで二塁に送られた。
 いびつな形となった中継プレーの隙を逃さない。三塁に到達していた一走・入江大樹は本塁突入、勝ち越しのホームへ生還を果たした。

「ランナーコーチが回してくれたので、それを信じて走りました。ランナーコーチだけを見て、後ろを見ずに走りました」

 三塁コーチを務めていたのは背番号7の岩間大翔。一発があり、代打の切り札を務める選手だ。

 2年秋はベンチ外。メンバー入りするためには自信のある打撃のほかにもう一つ何か武器がほしい、そう考えた時にたどり着いた答えが三塁コーチだった。

「新チームから練習試合でもすべて三塁コーチをさせてもらっているので、判断には自信あります。ランナーにはボールを見なくていい、と伝えてあります」

 練習では、ランナー付きのノックでも率先してコーチャーズボックスに立つ。
 練習試合で判断ミスをしたときにはランナーと一緒に交代させられる苦い思いをしたこともあるが、最近では判断ミスをした記憶がないという。

 3回裏の場面でも「最初はストップの指示を出していたんですけど、レフトがセカンドにノーバウンドで投げたので入江の足なら100%還れるなと思いました」と冷静に判断。
 相手に傾いた流れを引き戻すと、その後は打線が爆発し24安打で20得点を挙げた。

 代打とした打席に立った7回裏二死満塁で快音を残すことはできなかったが、「代打の1打席を重視して全員の思いを背負って結果残したい。でも三塁コーチの時間のほうが長いので1進塁でも多く奪える指示役になりたい」と意気込みを語る。

 次戦の相手は初戦を2ケタ得点で突破した鳴門(徳島)、点の取り合いなら望むところだ。

文◎小中翔太(スポーツライター)

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