日本の野球界のトップであるNPBに入るための道は狭く、スカウトの目に映らなければそのチャンスすらつかめない。しかし、高校時代に無名だった選手がプロ入り後に開花することがあるように、環境やタイミングが悪く発見されないまま埋もれている原石もあるはずだ。
 そこで、選手が自らアピールする機会を創設しようと、トライアウトイベント「WorldTryout」が今年から新たに開催される。イベントを主催する株式会社WorldTryoutの代表取締役CEOで、研究者との二足の草鞋を履く加治佐平氏に、イベントの趣旨、そしてそこに込められた自身の思いを語ってもらった。
(ベースボール・クリニック9月号掲載記事を再編集したものです)

※上写真=2017年の12球団合同トライアウトの様子。平日の開催にもかかわらず多くの観客がつめかけ、近年選手の去就にも注目が集まっていることを物語っている
写真◎太田裕史

イメージは「スポーツのオーディション番組」

画像: WorldTryoutの理念

WorldTryoutの理念

 今年の11月30日、明治神宮野球場にて「WorldTryout(ワールドトライアウト)」が開催される。
 戦力外通告を受けた元NPB選手、27歳までの独立リーガー、大学・高校のアマチュア選手、そしてMLBのマイナーリーガーと、カテゴリーの異なる選手が一堂に会し、NPBあるいはMLB入りに向けたトライアウトを行うのが同イベントの趣旨だ。
 元プロ、マイナーリーガー、予選を通過したアマチュア選手・独立リーガーの3チームに分かれ、元プロの監督による采配で5~7イニング制の試合で自身の長所をアピールするほか、ホームラン競争も行われるなど、観客が楽しめる内容になっていることが特徴でもある。

 NPB12球団のトライアウトでは、1-1からのシートバッティング形式で対戦できる人数も限られ、不完全燃焼で終わる選手も少なくないでしょう。また、いくらインターネットなどで情報が手に入りやすくなったとは言え、無名のアマチュア選手がスカウトの目に留まる機会は限られています。
そうした選手が上へとはい上がるチャンスをつくるのがこのイベントです。

 そのため、試合では代走は何回でもOKとするなど、その選手の長所を最大限にアピールできるようなルールにしますし、監督にも勝敗ではなく各選手の長所を生かす采配に徹してもらおうと考えています。また、甲子園のような大舞台が選手を成長させるように、元プロやマイナーリーガーと対戦することはアマチュア選手にとって大きな経験になると思います。

 NPB各球団のスカウトの目に留まった場合、元プロとマイナーリーガーは契約し、翌年の春季キャンプから参加することができます。アマチュア選手はドラフト会議が終わっているため、1年間は海外や独立リーグで武者修行することになります。

 このイベントのイメージは昔のテレビ番組の『ASAYAN』や『ガチンコファイトクラブ』のような「スポーツのオーディション番組」。私自身もそうなのですが、12球団合同トライアウトが平日にもかかわらず多くの観客を集めているように、無名の選手が元プロに食らいついたり、戦力外通告を受けた選手がもうひと花咲かせようと意地を見せる姿は、人々の共感を呼びます。
 そこでさらに見ている人が楽しめるような内容として集客できるイベントとなれば、今年は1日限りの開催ですが、土日の2日間にしたり、関東と関西で行ったりと、選手たちのアピールの場をより増やすことができるでしょう。

 WorldTryoutの共同創業者である田中聡は、法政大4年時にドラフトにかからず、アメリカ独立リーグのトライアウトを受け1年間プレー。帰国後、日本ハムの入団テストを受けて合格し、2年後に戦力外となって12球団トライアウトを受け阪神に入団したという、3回トライアウトを受けた経歴の持ち主です。
 そうした経験から野球選手にもっとチャンスがあればという思いを抱いていたこと、またマイナーリーガーの中でNPBに挑戦したいという選手が少なからずいることを知ったことで、このイベントのコンセプトを考えついたそうです。私はこの話を田中から聞かされ、野球界への恩返しになればとの思いで賛同しました。


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