高いボール奪取能力を持ち、チームを上位に引き上げる原動力になっているFC東京の橋本拳人。2019年には日本代表にも定着したボランチは、どのようにしてボールを奪うプレーを磨いてきたのか? ゴールにつながるボールの奪い方、育成年代の選手たちへのアドバイスを聞いた。

出典:サッカークリニック2020年6月号

取材・構成/鈴木智之 写真/福地和男、鈴木智之

――大事にしている点――
奪った瞬間の素早い情報収集

――橋本選手のプレーで印象的なのは、ボールを奪い合う局面で体勢が崩れたとしても、すぐに起き上がってプレーを継続できるところです。

橋本 体勢が崩れてもすぐに戻せるボディーバランスは、僕の持ち味だと思っています。倒れたときにどれだけ速く戻れるかはとても大切で、トレーナーさんからアドバイスをもらって取り組んでいます。バランス感覚も鍛えていますし、軸がぶれないような体づくりを意識しています。

――ボールを奪ったあとの攻撃に関しては、どんなことを意識していますか?

橋本 ボール奪取の回数が多ければ多いほど、自分たちの流れになりますし、セカンドボールの争いでマイボールにするか相手ボールになるかで展開は変わります。そして、ボールを奪ったあとに前線に素早くパスを出すことができれば、チャンスが増えます。緊迫したゲームになればなるほど、そういったことを強く感じさせられます。

――「ボールを奪ったら、あそこにパスを出そう」と奪う前に考えていますか?

橋本 僕は、どこに出すかを事前に見て決めておくことはしていません。ボールを奪う前に見た状況は、奪ったときには変わっているかもしれませんから。大切にしているのは、ボールを奪った瞬間にどれだけ早く周りを見るかということです。奪ったその瞬間はボールに視線が行っていますが、なるべく早く顔を上げて周りを見るようにします。そのスピードについては意識しているポイントです。

――ボールを奪いに行くときは、100パーセントの強度で行きますか?

橋本 絶対に奪えると思ったら100パーセントの強度で行きますが、五分五分なら、余力を少し残しておきます。ボール奪取の場面では、強度も大切ですが、インターセプトを狙うのか、それとも相手のプレーを遅らせるのか、その判断が重要になると思います。インターセプトをするためには、パスの受け手だけでなく、出し手がどのようなボールの持ち方をしているのか、どこにパスを出そうとしているのかを見ることが大切です。そこを見た上で、インターセプトを狙うのか、それとも、プレーを遅らせるというか、相手に前を向かせないアプローチをするのかの判断をします。

――相手のレベルが上がってくると、駆け引きがより重要になると思います。

橋本 日本代表として海外の選手とプレーすることが増えましたし、J1の高いレベルでプレーし続ける中で、駆け引きの感覚は研ぎ澄まされてきたと思います。数年前までは何でもかんでも飛び込んでボールを奪いに行きました。もちろん、その貪欲さも大切ですが、今はゲームの流れやチームのバランスを見た上で、相手にプレッシャーを掛けに行きます。その判断は洗練されてきたと感じます。


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