東京都府中市を拠点に活動する府中新町FCが、クラブの保護者に向けた講演トーク会を実施した。ユース年代でトップクラスの育成実績を誇る青森山田高校に有望選手を毎年輩出し、全国大会での実績もある青森山田中学校の上田大貴監督と、サッカージャーナリストの川端暁彦氏をゲストに招いたこの会の主な内容(一部編集)をテーマ別に構成。パート3のテーマは「成長する選手の保護者に共通するポイントは?」。司会は、府中新町FCの葛谷智貞監督が務めた。

出典:『サッカークリニック』2020年9月号

取材・構成/石田英恒 写真/Getty Images、BBM、石田英恒 協力/府中新町FC

上の写真=近年、U-18年代の各大会で輝かしい成績を残し続ける青森山田高校 写真/Getty Images

KEYWORD 01「保護者の姿」

司会 チームに子供を預ける保護者は、どういった意識を持てばいいのでしょうか?

上田 保護者がどれだけ見守れるか、そこが重要になります。プレーや戦術的な部分に関して、保護者が子供に何か言うのは絶対にやってはいけないことです。チームの方針や指導者の狙いに介入すべきではありません。

 指導者は、選手を育てる上で、我慢させたり辛抱させたりすることがあります。選手ができないポジションをあえてやらせてみたり、いくら技術があっても取り組みが不十分であればメンバーから外したりすることもあります。そういったときに保護者がいかに見守っていけるかがとても重要です。

川端 「ウチの子はなぜ違うポジションをやらされているのですか?」、「なぜ試合に出られないのですか?」と言ってくる保護者の方もいると思います。そういうときにはどんな話をするのですか?

上田 入学前の段階で入部説明会を開催し、その中でチーム方針だけではなく、保護者の役割についてもお伝えしています。例えば、子供が保護者に不満を漏らし、その保護者が指導者と相談して問題を解決したとします。すると、子供は保護者に不満を伝えれば物事が解決すると勘違いし、自分で解決することをやめてしまいます。

 成長する選手の保護者の方々に共通するポイント、それは「子供に対して簡単に手を差し伸べない」ということです。中には試合を見に来ることすら滅多になく、入学式と卒業式でしか指導者と会わないという方もいます。

 青森山田高校の2019年度の10番、武田英寿(浦和レッズ)が小学6年生で練習参加に訪れた際にU–13の試合に出てもらったことがありました。その中で相手チームの選手の態度があまりにもひどく、審判をしていた私は試合を止めて厳しく注意しました。相手チームの選手であっても、それを見過ごすことは彼のためにならないと思いましたし、入学したばかりの青森山田の子供たちにも、プレー以前のこととして取り組む姿勢がどうあるべきかを理解してほしかったために、思わず指導してしまったのです。

 練習終了後、武田のおとうさんに「見苦しいところをお見せしました」とお詫びをすると、おとうさんは「いいえ、あれで青森山田に決めました。こういう環境に身を置かせたかった」と言ってくださいました。そういう思いを持った保護者が、選手を成長させるのだと思います。

 青森山田中学校から高校に進学し、1年生のときから活躍した選手の親御さんもそういった思いを持った保護者の一人です。本人が結果を出して注目され、周囲からちやほやされればされるほど、親御さんは誰よりも厳しい目で子供を評価されています。親御さんがいつも私たち指導者におっしゃるのは、「調子に乗るなとだけ伝えておいてください」という一言だけです。成長する選手の保護者の子供に対する関わり方は共通していると思います。


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