前回大会は東海大の総合優勝に貢献も、5区で区間2位。西田壮志は個人としてもっとできた、という思いを、今季の成長につなげてきた。迎える箱根駅伝、自らの走りで区間賞、そして一番で往路のゴールテープを切る決意だ。

 激戦が予想される山上りの5区で、区間賞候補に挙がるのが西田壮志(東海大3年)だ。熊本・九州学院高時代には2年時に2000m障害で世界ユース選手権(現・U18世界選手権)に出場、3年時にはインターハイ3000m障害で日本人トップの2位、全国高校駅伝と都道府県駅伝でもすべて区間一ケタの実績がある。東海大の両角速監督は、当時から西田の山上りの適性を見抜いていたという。

上写真=西田は11月の全日本大学駅伝4区で区間賞を獲得し、16年ぶりの優勝に貢献した
撮影/中野英聡(陸上競技マガジン)

 2年時の全日本で学生三大駅伝に初出場を果たすと、箱根では満を持して5区に臨んだ。従来の区間記録を26秒上回る、1時間11分18秒の快走。中継所では2分48秒あった1位の東洋大との差を、1分14秒まで縮めた。ただ、続く3位でフィニッシュした国学院大の浦野雄平が西田を上回ったことから、1分30秒間だけの区間記録保持者に終わった。

「前回は区間新を出せてうれしかったのですが、後から浦野さんに記録を抜かれてしまったのが悔しくて……。区間賞が欲しかったです。振り返ってみるとどこかに、もっと頑張れたのではないかという思いがあります」

 東海大は復路の8区で東洋大を逆転。西田は初優勝のメンバーに名を連ねたが、個人の走りには課題が残った。その課題とは、きついところでの粘り。3年生になった今季はレースでも練習でも粘りを意識した結果、自身の成長を感じ取れるようになった。

 また、上級生らしくたくましさを増した。夏合宿のポイント練習では、集団から遅れた2年生に声を掛けながら、並んで走る西田の姿があった。「チームである以上、1人も見捨てるわけにはいかない。誰かがサポートしてあげないと……」と、仲間を想う気持ちは人一倍強い。

 三大駅伝初戦の出雲は6区で区間2位。次の全日本では4区を務め、区間賞の走りで16年ぶりの優勝に貢献した。平地での走力も上がり、自信を持って「天下の険」に挑む。

「浦野さんに勝てる力がついたと思います。どんな展開になっても前回以上の走りをしたい。“山の神”になるには1時間10分を切るか、10分台の前半が求められます。最低でも10分台では走りたいですね」

 往路優勝のテープを切って、芦ノ湖での表彰式で壇上に立つイメージもできている。

 東海大にとっては、今回の箱根が黄金世代と言われた4年生たちの集大成。「4年生には、最後に優勝して卒業してもらいたい」と、西田はこれからチームを引き継ぐ立場として、先輩たちへの恩返しの区間新を誓った。

にしだ・たけし◎1998年4月10日生まれ、熊本県出身。坂本中→九州学院高(熊本)。161cm、45kg。自己ベスト10000m28分58秒15(大3)、ハーフマラソン1時間03分27秒(大3)

文/石井安里

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