新型コロナウイルス感染拡大の影響により、大会が始まって以来初のインターハイ中止が決定した。日々、この大会を目標に練習に取り組んできた選手たちを近くで見守る先生方に話を聞いた。そのなかから昨年インターハイ男子総合優勝を果たした洛南高校の柴田博之先生のコメントを紹介する。

選手のことを思うと掛ける言葉が見つからないと話す柴田先生(写真は昨年8月撮影)
写真/宮原和也(陸上競技マガジン)

今は自分自身と向き合うチャンス

 休校期間の練習については、私からは、選手たちに何も言っていません。みんな自主的に練習を継続しています。

 外から見たら、「全国高校総体の中止」という事実だけかもしれません。でも、インターハイはそれだけじゃない。県大会も地区大会も、全国を目指す過程を含めてすべてがインターハイなんです。中学生もそうですが、全国の舞台に立てるのは、ほんの一握り。洛南高としても、「京都府大会を目指す」というのがアイデンティティです。学校の代表にも選ばれない選手も数えきれないほどいます。大人目線で話を進めれば、「次、頑張ればいい」という表現も出てくると思います。でも、高校生には高校生の目標がある。そこを一つの終着点として選手たちは毎日練習に励んでいます。確かにインターハイがなくなっても「夢」はなくならないかもしれない。でも、「高校生としての夢」はなくなりました。各カテゴリーの目標に向かって努力をした延長線上に世界の舞台があるのではないでしょうか。

 本校OBの桐生祥秀(日本生命)も「中学生にインターハイがある。高校生にインカレや日本選手権がある。だから頑張ろう、と安易には言えない」と、SNSでコメントを出していました。「次」がある選手ばかりではないんです。

 上のカテゴリーに進む選手は、ごくわずかですが、全日中やインターハイ、それが桐生の原点。だからこそ、彼は今、あのステージに立っています。

 中高生もこの情勢を理解していたでしょうし、そのなかでスポーツをして良いのかも考えていたでしょう。インターハイの中止が決定したのは4月26日でしたが、その前にある程度の覚悟はしていたと思います。

「頭では理解していても、ショックです」
「数日間、練習できませんでした」 

 在校生の選手たちは、そう言いながらも必死に今と向き合って前を向こうとしています。3年生も含め、開催が決まっていない大会に向けて、今も練習を継続しています。連絡を取るとみんな、練習の報告をしてくれます。今の状況は誰のせいでもありません。対立軸がないからこそ、やるせない。選手たちに掛けられる言葉は見つかりません。選手たちとは、「つらいよな。俺もつらい」と、つらさを共有することで精いっぱいです。

 きっと、今年、「やっとインターハイを目指せる」「やっと選手が育ってきた」そう思っていた選手や指導者もたくさんいたでしょう。

 今、全国の指導者が「どうにかして成果を発揮する機会をつくりたい」。そう思って動いています。でも、なかなかうまくいかないのが現状です。大会の開催可否は、コロナ次第。コロナが収束しても、部活は二の次、三の次。学校教育としては、オンライン授業が始まっています。「知育」はオンライン授業で補えます。では、「徳育」「体育」はどうでしょうか。身体を動かすことだけが体育ではありません。徳育も含めオンラインではできないんです。


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