アメリカンフットボールのXリーグは、下位「X1エリア」の第2節でLIXILディアーズと電通キャタピラーズが対戦、LIXILが電通を破った。LIXILは開幕2連勝、電通は1勝1敗。
LIXILが粘る電通を振り切った。LIXILは第1クオーター(Q)にK青木大介が2本のフィールドゴール(FG)を決め6点をリード。11分にRB徳永一輝が9ヤードを走ってタッチダウン(TD)、13-0とした。第2Qには、DB鈴木大輝がパントブロック。ボールを押さえて電通ゴール前1ヤードからのオフェンスとすると、RB徳永がエンドゾーンに飛び込んで20-0とした。
第3Q4分、電通はQB多川哲史からRB北村翔へTDパスを決めて反撃。さらにターンオーバーで窮地を脱すると、第4QにLIXIL陣25ヤードまで攻め込むが、フォースダウンギャンブル失敗。LIXILは次のドライブでQB加藤翔平がWR石毛聡士へTDパスを決めてリードを再び20点差とし、逃げ切った。
試合後、LIXILのアシスタントヘッドコーチを兼任する富永一オフェンスコーディネーター(OC)は厳しい表情だった。「オフェンスにミスが多い。決め切るべきところを決められない」。
今の電通は、攻守に錚々たるメンバーがそろう。QB多川、山城拓也に加え、今季はノジマ相模原ライズから藤本亮も加入。世界選手権3大会連続日本代表のDT紀平充則、K丸田喬仁ら、歴戦のベテランに加え、関西学院大や早大で、甲子園ボウルにも出場した学生フットボールのエリートが名を連ねる。決して組みしやすい相手ではない。
とはいえ、この日のLIXILオフェンスは詰めの甘さが随所に見られた。第1Qはサードダウンコンバージョンでパスを決められずにFG2本。いずれもベテランの青木が成功させたが、47ヤードと52ヤードは外してもおかしくない距離だった。
後半は、第3Qに敵陣に攻め込みながら、WR石毛へのTDパスは、ホールディングで取り消しに。その後のWR井上翔太へのパスでも、ファーストダウンを奪いながらファンブルロスト。井上のファンブルは、タックルに来た電通の選手が倒れた時に足がボールに当たって掻き出されたアクシデンタルなプレーで防ぎきれない面もある。ただ、ゲームの中では起こり得ることで、やはりボールセキュリティ―が足りなかったということになる。
富永OCは「シーズンの中では、どこかでこういう試合が出てくる。これを次のアサヒ飲料(チャレンジャーズ)戦でやっていたら、アウトだった。とにかく2週間でしっかり立て直す」という。
今季、X1エリアでは、富士ゼロックスミネルヴァAFCが、ここまで2連勝。前年順位の関係で、この後、上位のLIXILやアサヒ飲料との対戦がなく、6戦全勝の可能性もある。
X1エリアからX1スーパーへ昇格可能性があるのは1チームで、今季公式戦終了後に、上位2チームによる入れ替え戦出場チームの決定戦がある。そこにゼロックスが名乗りを上げるかもしれない。
開幕前はLIXIL、アサヒ飲料、アサヒビールシルバースターの「3強」が軸になると見られた「スーパー」昇格争いは、開幕2連敗のシルバースターが大きく後退。2連勝のLIXILもアサヒ飲料も、セロックスの快進撃に自力ではストップがかけられない以上、もう1敗もできない状態だ。
LIXILは、この試合、4人の新米国人選手は、DB兼リターナーのマックス・ルックのみが出場したが、OLイアン・パークら3人も、いつでも出場できる準備ができている。
9月29日、アサヒ飲料との生き残りをかけた1戦(大阪・エキスポフラッシュフィールド)、ディアーズは持てる力すべてを投入して、フルスロットルで戦う。【写真/文:小座野容斉】
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