アメリカンフットボールのXリーグは、下位「X1エリア」の第1節でLIXILディアーズと明治安田ペンタ―シャンパイレーツが対戦、LIXILが52-7で明治安田に大勝した。
LIXILが地力の差を見せつけた。3-0で迎えた第2クオーター8分にRB大野将樹のランで初タッチダウン(TD)を奪ってリードを広げると、ここから前半終了までにQB加藤翔平が2本のパスTDを決め、明治安田を突き放した。後半も加藤のランTDや、新加入のDBルック・マックスの70ヤードパントリターンTDなどで着々と加点。ディフェンスも、明治安田の得点を第4Qの1TDに抑えた。
第2クオーター8分までは、3-0と互角の展開。しかし、ここからLIXILオフェンスが覚醒し、4分で3TDを上げ、試合の流れを変えた。圧巻は第2Q10分からのTDだ。明治安田QB西澤凌介のパスをDB岡本昂大がインターセプトして得たオフェンス。最初のプレーで加藤は定石通りロングパスを狙った。エースWR前田直輝が圧倒的なスピードでカバーしているDBを抜き去ってキャッチし、一発TDとなった。
全盛時を思わせる前田の走りに、加藤が完璧にパスを合わせた。
第3Q最初のオフェンスでは、加藤がランでも見せた。サードダウン2ヤードで、自らボールをキープして右の外を走り、13ヤードのTDランとなった。90キロ台に体重を増やして3シーズン目、春は試合に出ず、トレーニングに専念していたという加藤の走りは軽快だった。
10月で34歳の前田、31歳の加藤だが、フィジカル的には、衰えは感じられない。オフェンスの軸がしっかりしている時のディアーズは、トップの「スーパー1」のチームとも十分に互角に戦えるチーム力がある。今季、高野元秀HCが復帰して、富永一アシスタントHCがオフェンスに割ける時間が大幅に増えたのも好循環を生んでいる。
RB陣も好調だ。過去2年エースRBとして活躍した白神有貴が退団し、心配されたパートだが、新加入の松下堅一郎、徳永一輝、林田雅史、2年目の宮山賢済らが競うように走り、ラン39回で210ヤード4TDを記録した。
この試合は、新戦力の米国人選手は、リターンTDを決めたDBマックスだけが出場した。NCAA屈指のビッグテンカンファレンス、名門ノースウェスタン大学でスターターとして活躍し、NFLイーグルスのキャンプにも参加したというOLイアン・パークら実力派の米国人3人がまだ控えている。
強いディアースが甦るシーズンとなりそうだ。【写真/文:小座野容斉】
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