西東京大会では早稲田実(準々決勝、6対2)、東海大菅生(準決勝、3対1)といった強豪を破った国学院久我山。8月8日の第3試合前橋育英(群馬)戦で、1991年以来となる夏の大舞台に臨む。
※上写真=28年ぶりの夏の甲子園出場となる国学院久我山
写真◎ベースボール・クリニック
国学院久我山の練習グラウンドは他部と共有しており、練習時間も平日は15時45分から18時と決して長くはない。限られた環境の中で練習の成果を最大限に上げるために行っているのが、チームの雰囲気を盛り上げるためのモチベーションアップ法だ。
例えば練習開始時には日替わりで選手が今日の意気込みを語り、全員でNo.1ポーズを取って「3、2、1、よし!」と声を合わせる。
また、「同調」と呼ばれるランニングは足並み、呼吸を合わせて行われる。
こうしてチームの一体感を生みだし雰囲気を盛り上げる目的は、自分の意見を言いやすい環境づくりにあると、尾崎直輝監督は語る。
「私が選手に最も求めているのが自分で考える姿勢です。サインが出たときにそのとおりのことだけをする、それは本校の目指す野球ではありません。1つのサインを読み解いて、各々の得意とする行動ができることに戦力の厚さが表れます。
ただ、1人で考えているだけでは思考の幅が広がらないため、横のつながり、つまりチームメートとの会話が必要です。私が1人の選手に言ったことを共有することで知識が増えますし、互いの考えを知り、野球観や強みを理解することで一体感が生まれたり、『彼はああ言うけど自分はこう思う』と自分の考えが深まったりもするのです」
チームのコミュニケーションを重視する国学院久我山では、守備のうまい選手がリーダーとなり3人や4人でグループをつくって教え合ったり、上級生1人が下級生1人の担当となって技術やチームのルールなどを伝えることもしている。
また、29歳と若く選手たちにとって兄のような存在でもある尾崎監督は、レギュラー外の選手に積極的に声を掛けたり、1年生の練習に自らも参加して共にプレーしたりと、チームが一丸となる雰囲気づくりに徹している。
こうした環境づくりが実り、今年の3年生は選手同士で話合うだけでなく、監督やコーチにも自ら積極的に質問する姿勢が生まれたという。
それもまた、西東京大会優勝の要因の一つだっただろう。
チームが一つなって迎える初戦。悲願の夏1勝をつかみ取りたい。
文◎ベースボール・クリニック編集部
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