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2022-03-10

【ボクシング】清々しい舌戦! 丸田陽七太vs.阿部麗也、5月に激突!

ともに自信満々の王者・丸田(左)と挑戦者・阿部

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 日本フェザー級チャンピオン丸田陽七太(24歳=森岡)の2度目の防衛戦に加え、空位となっているWBOアジアパシフィック同級王座決定戦を賭けた12回戦が5月15日(日)、東京・墨田区総合体育館で行われることが10日、都内で発表された。挑戦者は日本王座の指名挑戦者1位で、WBO・AP3位の阿部麗也(28歳=KG大和)。自ら「天才」を名乗り、毎度ビッグマウスで惹きつける阿部に、丸田もさらりと返す“清々しい”舌戦が展開された。

文&写真_本間 暁

「印象ですか? ただデカいだけ」と阿部
「印象ですか? ただデカいだけ」と阿部

 それまでの“お決まりの”やり取りに堪え切れなくなったのか。口火を切ったのは挑戦者だった。丸田の印象を訊かれると「デカいだけ。もやしみたい。すべての面で、オレの方が上回ってる」。だが、丸田は顔色ひとつ変えずに、「でも、そのもやしが勝った相手に、阿部選手は負けてるんですよ」とニヤリ。文字だけ見るとドギツイ、ありがちな“攻防”に見えるかもしれないが、互いに神経をめぐらせたスマートな駆け引きに思え、会場も和やかな空気が一層強まった。

「もやしがKOします」と丸田も反撃
「もやしがKOします」と丸田も反撃

 丸田が勝ち、阿部が負けた相手とは、前王者の佐川遼(三迫)。阿部は2019年9月に佐川に挑むも0-3の判定で敗れ、丸田は昨年2月に挑戦し、7回TKOでタイトル奪取に成功している。

 さる11月、両者は同じリングに上がっている。丸田は日本王座の初防衛戦で、日野僚(川崎新田)から2度ダウンを奪っての判定勝利。そのセミファイナルにセットされた挑戦者決定戦で、阿部は渡部大介(ワタナベ)を左一撃で眼窩底骨折させて3回TKOに終えている。

「世界ランカーとの対戦や、それこそ世界挑戦など、いろいろと選択肢があった中で、でも私個人としては、阿部選手にきっちりと勝って、『国内最強』と誰にも思われるような試合をしてからさらに上を目指したかった」と森岡和則会長。
「まだ阿部選手対策はしておらず、丸田の持っているものの底上げに時間を費やしてきた。今日をもって、対策を始めます」という森岡会長に対し、阿部の参謀・片渕剛太会長は「11月の試合が終わってから、丸田選手対策に取り組んできた。丸田選手を丸裸にしている」とズバリ。「もうすでに、先を見ているようですが、しっかりと足元を見たほうがいい」と追撃も。これには森岡会長も、「片渕会長の熱い気持ちが伝わってきた。でも、丸田は6歳から世界チャンピオンを目指してやってきた。ここで負けたら終わってしまうので」と、費やしてきた日々の分厚さを強調した。

愛弟子を想う気持ちの強い両会長が、言葉の戦いを始めそうになり、会場は笑いに包まれた
愛弟子を想う気持ちの強い両会長が、言葉の戦いを始めそうになり、会場は笑いに包まれた
 
「前回(日野戦)は合格点をあげれない試合だったので、今度は納得のいく内容で、前半KO勝ちしたい。もやしにKOされる阿部選手をみなさんに見てもらいたい」と王者が言えば、「こっちは前半のそのまた前半でKOしたい」と挑戦者。頭脳明晰な両雄だけに、相手の言葉にすかさずリターンを重ねていき、終わりの見えないシビレる戦いが早くも繰り広げられた。

会見後、「いい試合をしましょう!」と両会長がガッチリ握手
会見後、「いい試合をしましょう!」と両会長がガッチリ握手

 180cmと長身で、懐の深さと左ジャブを駆使した技巧派のイメージが強かった王者・丸田だが、近年は右のハードパンチと野性味あふれる攻撃も増してきた。対して172cmのサウスポー阿部は、師匠譲りの待ちのカウンターボクサーの色合いが濃かったが、渡部を実質一撃で破った、一瞬の踏み込みから放った左ストレートの威力は圧巻だった。

 ともに端正な顔立ちの両者、洗練されたボクシングスタイル、熱いハート……。様々な面で、5月にリングで向かい合う両雄の姿が待ち切れない。

丸田:14戦12勝(9KO)1敗1分
阿部:26戦22勝(10KO)3敗1分

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