アメリカンフットボールのXリーグは12月9日、トップリーグ「X1スーパー」の2019年シーズン最優秀選手(MVP)、最優秀新人、オールX25人(オフェンス11人、ディフェンス11人、スペシャルチーム3人)、フェアプレー賞(チーム)を発表した。富士通フロンティアーズのRBサマジー・グラントが、MVPと最優秀新人の2冠に輝き、オールXのRBでも選出された。
グラントは米NCAAパック12の強豪校アリゾナ大の出身。同大では2013年から4シーズンでWRとRBのトゥィナーとして、パスレシーブ1635ヤード、ラン491ヤードで計18タッチダウン(TD)の実績を残した。富士通には今夏来日して合流、エースRBとしてチームのレギュラーシーズン7戦全勝に大きく貢献した。レギュラーシーズンの成績はラン527ヤード(リーグ1位)・3TD、パスレシーブ313ヤード・5TDだった。グラントは昨年のMVPニクソンとはタイプが異なり、変幻自在にタックルをかわし走り抜けるスタイルでディフェンスを翻弄した。得意のレシーブでも、大切な場面でTDパスをキャッチする決定力を見せた。
変幻自在のランでディフェンスを翻弄した富士通RBグラント=撮影:小座野容斉
オールXリーグは、個人として最多選出はOL小林祐太郎(富士通)の8回=7年連続。不動のLTとして、富士通QBのブラインドサイドを守り続ける鉄人だ。DBアルリワン・アディヤミ(富士通)が7年連続7回目の選出で続き、OL望月俊(富士通)、TEジョン・スタントン(IBM)、DLデイビッド・モトゥ(パナソニック)、ジェームス・ブルックス(IBM)が6回目の選出となった。
オールXリーグ選出のメンバーが揃う強力富士通OL陣。C山下(#60)、T小林(#72)、G望月(#66)=撮影:小座野容斉
注目のQBは、8年目、34歳のケビン・クラフト(IBM)が6年ぶり3回目のオールX選出となった。クラフトは7試合でパス1862ヤード、22TD(いずれもリーグ1位)。ヘッドコーチとしては不本意なシーズンだったが、QBとしては、シーズン途中で負傷した政本の穴を埋め、リーグトップ級のIBMレシーバー陣を自在に操って高いレベルのパス攻撃を見せた。
優れた米国人パサーが揃うX1スーパーで、NO.1QBに輝いたベテランQBクラフト=撮影:小座野容斉
ディフェンスでは、DLバイロン・ビーティーJrとDBブロンソン・ビーティー(共にオービックシーガルズ)が2年連続で兄弟そろっての選出。ブロンソンは、38.5タックル、4インターセプトで2部門でリーグ1位となる、MVP級の活躍を見せた。
タックルとインターセプトの2部門でリーグ1位となるMVP級の活躍を見せたオービックのDBブロンソン=撮影:小座野容斉
初選出となったのは、オフェンスでRBグラントの他に、OL山下公平(富士通)、WR近江克仁(IBM)アルフォンソ・アヌワー(エレコム神戸)、RB李卓(オービック)。ディフェンスではDB須田克志(オービック)、木村俊基(エレコム神戸)。スペシャルチームではK佐藤敏基(IBM)、P山崎丈路(エレコム神戸)、R=リターナー ショーン・ドレイパー(エレコム神戸)の3人全員が初選出となった。K佐藤は第7節の東京ガス戦(11月16日)で、日本タイ記録となる58ヤードのフィールドゴールを成功させた。
チーム別では富士通、オービックの6人選出が最多。以下、IBMが5人、エレコム神戸が4人で続いた。米国人選手は25人中8人(デイヴィッド・モトゥ、ブロンソン・ビーティーは、日本人枠)を占めた。
フェアプレー賞にはオール三菱ライオンズが選ばれた。
Xリーグでは2000年シーズンよりリーグ戦で活躍した優秀な選手を表彰し、オールXリーグチームを選出している。選考対象は攻撃11名、守備11名、スペシャルチーム3名の計25名。今季からリーグ編成が変わったため、X1スーパー所属の8チームから選出された。
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