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2020-11-08

【アメフト】IBM気迫のディフェンスも、富士通揺るがず連勝 X1スーパー

【富士通 vs IBM】第1クオーター開始早々に、富士通WR松井がQBバードソンからのロングパスをレシーブし、63ヤードのTD=2020年11月7日、撮影:小座野容斉

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アメリカンフットボールのXリーグ「X1スーパー」は第2節に入り、11月7日、富士通スタジアム川崎で富士通フロンティアーズとIBMビッグブルーが対戦、富士通が粘るIBMを終盤に突き放して勝利した。富士通は2勝、IBMは2敗となった。

富士通フロンティアーズ○41-21●IBMビッグブルー
(2020年11月7日、富士通スタジアム川崎)

 富士通は、最初のオフェンスで、QBマイケル・バードソンからWR松井理己に63ヤードのロングパスが決まりタッチダウン(TD)。開始58秒で先制した。富士通は第1クオーター11分にも、IBMのファンブルをリカバーしたチャンスに、バードソンからWR強盛にTDパスが決まって14-0とリードした。
 追うIBMは第2クオーター2分にQBケビン・クラフトからTE松岡直希にTDパスが通って7-14。富士通はバードソンがWR小梶恭平に52ヤードのスクリーンパスでTDを決めて、14点差としたが、IBMは10分、クラフトがWR白根滉にTDパスを決めて、1TD差で後半へ折り返した。

【富士通 vs IBM】第2クオーター、富士通WR小梶が、スクリーンパスからTD。小梶の前をブロッカーとして走る富士通OL陣の走力が光った=2020年11月7日、撮影:小座野容斉


 第3クオーター、富士通はファンブルロストの判定がビデオリビューで覆り、IBMゴール前へ。バードソンからWR中村輝晃クラークへスラントパスが決まってTDとなり再びリードを広げた。富士通は第4クオーター1分にもK西村豪哲が39ヤードのフィールドゴール(FG)を決め、17点差とした。
 IBMは、直後のキックオフで鈴木隆貴が99ヤードのリターンTD、富士通に追いすがった。しかし、富士通はQBバードソンが第4クオーター6分に、この試合5本目のTDパスをバックショルダーでWR松井に決め、再び17点差とすると、9分にもK西村が42ヤードのFGを決め、勝利を決定的にした。

【富士通 vs IBM】第4クオーター、IBMのWR鈴木が99ヤードのキックオフリターンTD=2020年11月7日、撮影:小座野容斉

試合を壊さなかったQBバードソン

 ハーフタイムに、スタンド下のアップ用フィールドから怒鳴り声がフィールドまで響き渡った。富士通のOLコーチ、ケビン・ライトナーが、OL陣に活を入れていたのだ。無理もなかった。IBMのアグレッシブなディフェンスに、日本一のパスプロテクションが切り崩され、QBバードソンが何度も地面にたたきつけられた。
 IBMは、前陣強調型のディフェンスを敷いただけでなく、リーグ最強のパスラッシャー、ジェームズ・ブルックスを、本来のDEから3-4守備のノーズタックル(NT)に位置させるなど、意表を突く作戦も繰り出し、富士通の予想を上回るプレッシャーをかけ続けた。IBMディフェンスが奪ったQBサックは4回。投げ急ぎも何度も強いられた。

【富士通 vs IBM】第2クオーター、富士通QBバードソンをサックし、両手を挙げて喜ぶIBMのDEブルックス。なすすべもなく見つめる富士通OL陣=2020年11月7日、撮影:小座野容斉

 QBへのプレッシャーだけでない。サマジー・グラント、トラショーン・ニクソンという富士通が誇る2枚看板のRBを、ディフェンス陣が素早い集まりで2人がかり3人がかりでタックル、ゲインを許さなかった。ニクソンは3回19ヤード、グラントは11回5ヤードとほぼ完全に封じられた。
 パナソニック、オービック戦以外で富士通オフェンスがこれほど苦しんだことはなかった。
 窮地の中、的確にオフェンスを操ったのがQBバードソンだ。プロテクションが持たず、ランがまったく出ない中、バードソンは勝負所で冷静に対応した。5本のTDパスはポストパターン、スラント、クイックスクリーン、バックショルダーなどすべて違った種類を投げ分けた。スクリーン以外はTDを狙ったパスだった。歴戦のWR、中村クラークや宜本潤平がサードダウンで好レシーブを見せてファーストダウンを奪い、バードソンを助けたのも大きかった。
 バードソンのパス成績は18/30で、322ヤード5TD。富士通のオフェンストータル342ヤードの9割以上をパスで稼いだ。サードダウンコンバージョンは4/9と勝負強さを見せた。特筆すべきはインターセプトがゼロだったことだ。フィールド内で、選手たちの小競り合いも起きるなど、ヒートアップした戦いの中で「ゲームを壊さない」という、QBに最も求められる仕事をきっちりこなした。
 終わってみれば、ほぼダブルスコアの41-21。富士通の底力を改めて感じさせる試合となった。


【富士通 vs IBM】第3クオーター、富士通WR宜本潤がQBバードソンからのパスを飛び込みながらレシーブ2020年11月7日、撮影:小座野容斉

IBM、熱い気持ちが最後は空転

 IBMは7点差で前半を終え、手ごたえをつかんでいた。前戦のエレコム神戸戦では、QBソコールにプレッシャーをかけられず、拱手したままパスTDを奪われ続けたチームだったが、この日は、選手たちの熱量が違った。ファンブルロストした選手がファンブルリカバーでやり返した。
 流れが変わったのは、第3クオーター。フィールドでの富士通のファンブルロストの判定がビデオリビューでパス失敗に覆った。率直に言って、プレーはファンブルにしか見えなかったが、判定は判定だ。気持ちを切り替えなければいけない。その後の富士通はサードダウンでもパス失敗だったが、IBMがパーソナルファウル「ラフィング・ザ・パサー」で15ヤードの罰退、中村クラークへのTDパスにつなげられた。
 この後も、いったんは鈴木のリターンTDで10点差まで詰め寄ったが、キーになる場面で反則を重ねて罰退、流れをつかみきれなかった。
 日本で最強のOL陣を苦しめ、過去2年、Xリーグで止められることがなかった2人の米国人RBをほぼ封じ込むなど、持っているポテンシャルは示したIBM。来季につなげるためにも、最終戦こそ、勝利という結果が欲しい。


【富士通 vs IBM】第4クオーター、富士通RBグラントのランを反対サイドから追いかけタックルするIBMのDEブルックス=2020年11月7日、撮影:小座野容斉

【写真・文/小座野容斉】

試合を観戦した富士通・時田隆仁社長のコメント

コロナ下で制限がある中でたくさんの人に応援に来ていただきました。スタジアムに来られなかった人にも良いニュースが届けられたのではないかと思います。

(IBMの社長も観戦されていたましたが)

試合前にあいさつをしました。「いい試合をしましょう」とお話をしました。凄くいい試合ができたと思います。両チームにとって、これから(ファンや周囲を)勇気づけられるような選手の活躍だったと思います。

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