close

2020-11-28

【ボクシング】試合巧者・森武蔵がV3。溜田剛士を11回TKO!

王者・森が溜田をコーナーに詰めてラッシュしストップ

全ての画像を見る
 28日、東京・後楽園ホールで行われたWBOアジアパシフィック・フェザー級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオン森武蔵(21歳=薬師寺)が、挑戦者6位・溜田剛士(27歳=大橋)を11回1分39秒TKOに下し、同王座3度目の防衛を果たした。


序盤は挑戦者・溜田(左)が先制攻撃を仕掛けたのだが…

「1ラウンドから倒しに行け、と佐久間(史朗)トレーナーに言われてる」。前日計量後のリモート会見で決意を述べた挑戦者が、その言葉どおりに立ち上がりから仕掛けていく。距離を詰めて、左右ボディブロー、右アッパーカットと王者の小顔に次々と叩きつけていく。

「打ち合いに巻き込まれてしまった。付き合ってしまった」という森。足を止めて、溜田の打ち終わりに右フック、左ショートを集めて跳ね返しにかかるが、挑戦者の勢いは止まらない。序盤は体力に任せた溜田の攻撃が、はっきりと目を惹いた。

 が、挑戦者サイドからすると、森のタフネスは予想外だったのではないか。一撃に怯むシーンは再三あったものの、決めにかかる溜田の二の矢三の矢は食らわない。ターンや回り込みも披露して、回避していくと、徐々に足の運びも滑らかに。それに比例するかのように、「中盤くらいから、溜田選手が失速していくのがわかった」(森)。


森の左アッパーがヒット

 7回、溜田の入り際に左アッパーを決めてダメージを与えた森は、ロープを背負わせてラッシュ。棒立ちになりながらも溜田は気力を振り絞って右ボディアッパーを返す。森の打ち疲れ、溜田のダメージ、いずれが濃厚に出るか、続く8回が注目だった。

 ここで、引き出しの多さを披露したのが森だった。無駄のない足運びで下がる。あるいは、サイドへと動く。追い足が鈍っている溜田をはっきりとコントロールし、右ジャブ、左ストレート、右フック、左アッパーでスパンスパンといなす。
「スタミナ、体力面には自信があった」という森だが、それだけではない。足運びでリズムを取り戻し、パンチのキレや威力も増した印象で、終盤にきてこのボクシングに切り替えられるのは立派だった。

「本当は、逆をやりたかった」。試合後に森は苦笑いを浮かべながら話した。つまり、序盤に足を使って、中盤から後半に打ち合いで勝つボクシング。しかし、終盤に、あのボクシングへと変化させられることにこそ価値がある。

 繊細さを増した森は、もう溜田のパワーパンチを浴びなかった。いや、その距離を徹底的に回避した。そしてシャープな左ストレートで右目上を切り裂くと11回、左右アッパーでダメージを与えて連打。レフェリーストップに持ち込んでみせたのだった。

「チャンピオンらしく、綺麗な勝ち方をしたかったけれど、溜田選手はパンチも気持ちも強くてペースを取られてしまった。それが反省点」。
 しかし、師事するイスマエル・サラス・トレーナー、ラスベガス・キャンプをきっかけに交流のあるWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(Ambition)のアドバイスを参考にした試合運びの巧さが光った。溜田の猛烈な攻撃に巻き込まれ、我を失ってもおかしくない展開を、見事に引っ繰り返してみせたのだから。

 WBOランクは4位まで上昇している。「フェザー級の世界チャンピオンはみんな強いけれど」と前置きしながら、「海外でしか挑戦できないだろうから、海外で勝つボクシングをさらに身に着けたい」(森)
 たくましい21歳だ。

文_本間 暁 写真_小河原友信


岡田(左)、室田は最後まで打ち合ってドロー

 セミファイナルでは元日本スーパーフェザー級チャンピオンの岡田誠一(大橋)が1年7ヵ月ぶりの再起戦に臨んだが、室田拡夢(T&T)との8回戦はドローに終わった。38歳の岡田は、これがA級初戦の24歳・室田と接近戦で打ちつ打たれつの攻防に終始。室田は初経験の7回にボディ連打で岡田の動きを止めかけたが、押し切れず。最終回は岡田が盛り返した。判定はジャッジ1者が78対74で岡田としたが、残る2者は76対76だった。


利川(左)はじわじわと小林を攻め立ててストップ

 日本ライト級1位の利川聖隆(24歳=横浜光)は、小林孝彦(24歳=一力)との8回戦に5回59秒TKO勝ちした。初回はアップライトの小林がロングジャブと速い上下のコンビネーションで先制も、2回に入ると利川が本領発揮。ブロックしながら距離を詰め、低い姿勢から力強い右クロス、左フックで小林を追い詰めていく。4回、プレスに耐えきれず打ち合ってきた小林は、利川の左フックでヒザを折り、防戦一方。5回も利川のパワフルな連打は続き、左アッパーで小林が棒立ちになったところでレフェリーが試合を止めた。

文_藤木邦昭 写真_小河原友信


八重樫さん(左)は、相変わらず凄い体!

 同い年の岡田のチーフセコンドを務めた元世界3階級制覇王者・八重樫東さんが、後輩で日本フライ級9位のホープ、桑原拓(25歳)と2分2ラウンドのスパーリングを披露。スピードあふれる桑原の左ボディブローに一瞬動きを止めたが、軽快な身のこなしと鍛え抜かれた(いまだにトレーニングを積んでいる)ボディを披露。「9月1日に引退を表明しましたが、今日をもって撤回します」の言葉が冗談に聞こえない動きを見せた。

文_本間 暁 写真_小河原友信

ボクシング・マガジン 12月号 | BBMスポーツ | ベースボール・マガジン社

2020年11月13日発売BBM0292012A4判定価 本体1045円+税ContentsCOLOR GRAVURE日米総力特集井上尚弥――伝説は第2章へ。ジェイソン・マロニー戦ラスベガス現地レポート/杉浦大介精密右カウンターで"聖地"の...

タグ:

PICK UP注目の記事

PICK UP注目の記事