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2019-11-19

【ボクシング】はじめの一歩フェザー級トーナメントは劇画さながらの激闘。渡部、草野ら準決勝へ

人気劇画『はじめの一歩』連載開始30周年記念と銘打ったトーナメントが19日、東京・後楽園ホールで開幕した。単行本126巻にしていまだ継続中の大長編の主人公、幕之内一歩にあやかってフェザー級を戦場とするもので、隣の後楽園展示場では作者の森川ジョージ氏の原画などが展示されるなど、意欲的なデモンストレーションとともに試合は開催された。

写真上=森川ジョージさん(左から4人目)の開会宣言で闘いの火蓋が切られた

展示場にディスプレーされた『はじめの一歩』の原画の数々

 この日行われた3試合は、一歩の戦いさながらの、いずれ劣らぬ激闘となった。勝ち残ったイ・ジェウ(韓国)、草野慎悟(三迫)、渡部大介(ワタナベ)と1回戦シードのリチャード・プミクピック(フィリピン)は2月27、やはり後楽園ホールで準決勝に臨む。

渡部 大介(ワタナベ)日本Fe級6位
【負傷引分4回58秒】
竹嶋 宏心(松田)
※トーナメント規定により渡部の勝者扱い

左フックで攻める渡部(左)

 名古屋のホープ竹嶋が開始とともに右を連発して出るが、キャリアにまさる渡部はここを冷静にしのぐと2回から反撃。低い姿勢から攻め込み、竹嶋を追い回す。竹嶋は2回に右目上、4回に左目上をバッティングでカット。負傷判定でドローとなり、優勢点で渡部が勝ち上がった。
「今日は距離感が悪く、いいところが出なかった。次はタイトルマッチのつもりで戦う」という渡部は、準決勝で前WBOアジアパシフィック王者のリチャード・プミクピック(フィリピン)と対戦する。

草野 慎吾(三迫)
【TKO5回2分42秒】
マ・シャン(中国)

壮絶な打ち合いを繰り広げた草野(左)

『はじめの一歩』さながらの大激戦を演じたのが草野だ。初回、マの左で2度ダウンを喫した草野は、荒々しく攻め入るマに、サウスポースタイルからの左カウンターで何度も腰砕けにさせた。が、マは打たれると倍返しとばかりにラフに打ちかかる。「右のボディストレートが効いた」草野は受けに回り続け、厳しい状態が続いた。しかし5回、草野が左ロングフックを決めて遂に倒すと、立ち上がったマを連打で攻めてストップした。
 2017年8月で前所属の名門ヨネクラジムが閉鎖し移籍。だが2016年7月からの連敗は4まで伸びており、漫画のような逆転勝利で2016年2月以来の白星。もちろん嬉しい移籍初勝利となった。

イ・ジェウ(韓国)KMB韓国Fe級チャンピオン
【TKO3回1分19秒】
溜田 剛士(大橋)日本Fe級7位

溜田(左)はイに敗れる

 いきなり派手な打ち合いからスタートする。先手をとったのは、これが1年8ヵ月ぶりのリングというイだった。上体を揺らしながら右クロス、左フックを顔面、ボディに散らす。立ち遅れた溜田も反撃し、持ち前の強打で何度もイをぐらつかせるが、韓国チャンピオンはへこたれない。そのたびに反撃し、展開は激しくもつれ合った。
 3回に溜田が左目尻の上をカットしてから、流れは急展開する。強引に打ち合う溜田だったが、左フックを浴びてダウン。立ち上がったがダメージは深く、イの左フックで棒立ちになったところでストップがかかった。
「(溜田は)パンチがあったが、私のスタイルは前に出ることなので貫きとおした。もっと練習して次も勝つ」とイは穏やかな表情のまま闘志を見せた。敗れた溜田は「相打ちを狙ったが、逆に打ち込まれてしまった」と肩を落とした。

写真◉菊田義久

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