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2018-06-14

弱小公立校を甲子園へ 「弱者の能力を伸ばす最高の方法」〈3/3〉

 高校野球監督として2002年夏に久居農林高を、12年夏に松阪高を甲子園へと導いた松葉健司氏。いずれもそれまでに甲子園出場歴がなく、時間、場所、道具などに制約がある公立校で達成した快挙だった。
 現在、次世代リーダー育成会社「Human Freeman」の代表として人材育成に励み、『超集中で人は変わる 弱者を甲子園に導いたリーダーの能力を伸ばす最高の方法』(ベースボール・マガジン社)を上梓した松葉氏に、未来を担う若者たちの能力を最大限に引き出す指導のポイントを聞いた。(全3回)

※高校野球監督時代の松葉健司氏。選手の能力を引き出す創意工夫が甲子園へと実を結んだ
写真:BBM

練習メニューの間に
集中力を高める

 23年間にわたる公立校の指導では、選手たちの持っている力を最大限に引き出す指導論を前提として、集中力をアップさせる具体的なメニューを考案してきた。練習時間や環境が限られ、短時間で質の高い練習が重要で、集中のスイッチを持つことはチーム力の向上につながる。

 海外のチームと国際試合を行うと、日本のチームは先手を打たれることが多いと感じます。海外の選手はエンジンがかかるのが早い印象です。一方、日本の選手は考えて、様子を見て、大丈夫だと分かれば頑張り、粘り強い戦いをします。
 野球に限らず勉強や仕事でも、やっていくうちにだんだんとノッていくタイプの方はいると思います。ただ、限られた環境の中では最初から一気に集中することも必要です。そこで、私は集中力を高めるメニューを練習に取り入れていました。

 それらは、全体練習ではキャッチボールからバッティングに移るときなど練習内容を変えるタイミングで行っていました。ただ、集中力が切れるタイミングは人それぞれなので、個人のスイッチも用意させていました。例えば、集中が切れたと感じたら胸を拳でたたくとか、遠くを指差すといったことです。そうすることで、自分自身の切り替えにもなりますし、試合のときは周りもそれに気づきフォローすることができます。

 弱者が強者に立ち向かおうと思えば、力を出し切ること。そのためには心の抵抗がないことが絶対条件です。すなわち集中した状態をつくり出せることが大切になります。

《PLOFILE》
松葉健司[次世代リーダー育成会社Human Freeman代表]
まつば・たけし/1967年三重県生まれ。松阪高―日本体育大。大学卒業後、三重県で公立高校教諭となる。野球部を指導し、2002年夏に久居農林高、12年夏に松阪高を、いずれも甲子園初出場に導いた。17年3月に退職し、次世代リーダー育成会社Human Freemanを設立。

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