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2020-12-06

【ボクシング】強打は空転。中野幹士、試練の初メインイベント

ダウンを喫した以外は圧倒した中野(左)だが、内容は乏しかった

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 アマチュアから転向以来4連続KO勝ちを続けてきたフェザー級のホープ(東洋太平洋同級8位)、中野幹士(25=帝拳)は5日、初めてメインイベンター(8回戦)として東京・後楽園ホールのリングに立った。だが、佐伯瑠壱斗(22=岐阜ヨコゼキ)を攻めきれず、逆にダウンを奪われながらの判定勝ちにとどまった。

キャリア作りの手立てにはなったが…

“鋼鉄の拳”。そう名付けられた強打は最後まで陽の目を見ることはなかった。サウスポーの中野は序盤からプレッシャーをかけ、長身の佐伯を追っていった。しかし、どこかリズムも悪く、スムーズなコンビネーションブローにつながらない。

 その中野がペースアップを図った矢先だ。3回の終了間際、コーナーに追い詰め、強引な連打を仕掛ける。その直後、不用意にバックステップを踏んだ中野が、佐伯の右ストレートを当てられて、ダウンを喫してしまうのだ。

 中野にダメージはなかった。4回の立ち上がりには左ストレートを痛打。佐伯は中野の体にしがみついて、追撃を遮るのがやっと。その後も中野が常にペースを管理していくものの、ここぞの攻めが雑になり、たびたびのチャンスも棒に振ってしまった。

 判定はジャッジ3者とも78対73。文句なしだったが、当然、中野の表情は浮かない。「今日の出来では全然だめです」とリング上で自己評価。リモートによる会見でも「パンチを打つとき体が浮いていました。来年にはタイトル挑戦? まったくないです」と自分にとことんつらく当たっていた。この段階で、修正点がたくさん見つかったことは、もっと成長できるという証拠。すべては前向きに考えてもらいたい。

右フック一発。永野は152秒でワンパンチKO勝ちを収めた

永野祐樹は豪快KOで再起戦を飾る

 前座の8回戦は日本ウェルター級2位の永野祐樹(31=帝拳)が、2月に小原佳太(三迫)に敗れて日本王座を失って以来のカムバック戦を行った。永野は同じくサウスポーの安藤暢文(32=高崎)に1回2分32秒TKO勝ちした。

「小原戦では得意の左だけではいけないと考えて、かえってダメでした。今後は唯一の武器の左だけにこだわっていきます」。前日の計量後にそう話していた永野だが、試合を決めたのは鮮やかな右フック。荒れまわる安藤を左で追い、一瞬のスキをついた。倒れた安藤は立ち上がったが、足元が定まらず、レフェリーはカウントを中止してTKOを宣した。

「意識して打つのは左パンチだけ。右は自然にまかせて打ちました」と語る永野は満面の笑み。「日本でも東洋太平洋でもWBOアジアパシフィックでも何でもいいからチャンピオンになりたい。その前にひとつでも負けたら(キャリアは)終わりです」とタイトル復活への決意を語っていた。

文◎宮崎正博 写真◎小河原友信

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