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2018-05-01

[中学硬式野球] 少子化、野球離れの波を跳ね返す チームづくりのヒント

「OBが帰ってくる場所でありたい」
奈良香芝ヤングのチーム理念

 少子化、そして野球離れの波は、あらゆるところで顕在化している。2018年春、ヤングリーグの奈良地区では奈良ウィングとヤングビクトリーが合併した形となり、奈良ヤングとして始動した。これで奈良地区所属チームは1チーム減の3チームに。これに伴い、ここ数年、奈良地区から1チームを選出していた春夏の全国大会の予選形式も変更。今夏からは和歌山の5チームと合わせて代表枠を争うことになる。

 選手数の確保はチーム存続にもかかわる課題だが、同じ奈良地区に所属する奈良香芝ヤングは今年も13人の新入部員が入団した。この数字は例年、15人前後で安定している。

 チームの創設は2005年。創立当時、ヤングリーグの奈良地区所属チーム数は今の倍を超えていた。当時から監督を務め、現在は総監督を務める柳沢光男さんは語る。

「チームをつくったときからの目標というか、理想としていたのが、OBが帰ってくるチームにすることでした。そうした魅力がなければ、数ある選択肢の中で野球を選び、このチームを選んではもらえないと考えてのことでもあります。OBが帰ってくる場所でありたいですし、それを残すためにもチームを続けていなければならないと思っています。人が集まるということを大事にしていきたいですね」

 今年の1月2日、ホームグラウンドには約60人のOBが集まった。2017年度の卒団生で12期目を数え、OBは112人を数える。その半数が顔を出し、炊き出しのおにぎりと味噌汁をほおばった。初期メンバーはすでに社会人となって数年が経つ。世代が違い、顔も名前も知らないメンバーもいるが、同じユニフォームを着た共通項がカベを取り除く。ソフトボールのレクリエーションでも笑顔が弾けた。これが毎年、恒例の風景になった。

「いつまでも青春の良い思い出として心の中に残してもらっているとすれば、うれしいですね。自分に置き換えても、中学時代って純粋に楽しくて、いつまでも当時のままで付き合える仲間がいる。そういう場所があることは、いいものだなって思います」

 高校からその先に通じる基本技術を教え、練習に耐え得る体力を築くとのチームの目標を据える一方で、勝つことだけではない理念を持ち、チームを継続している。

練習中の補食風景。和気あいあいと野球をする環境を楽しんでいる

奈良香芝ヤング
本拠地▶奈良県香芝市
創設年▶2005年
部員数▶26名(3年15名、2年11名)
スタッフ
会長:中村智則
代表:野下 悟
総監督:柳沢光男
監督:重阪俊英
コーチ:武村英俊、濱村孝行、米本重一
マネジャー:守川和孝
練習場▶香芝グラウンド、関屋グラウンド
活動日▶土日祝9:00~18:00、火木17:00~19:00
主な大会出場歴▶春季全国大会(2008、15、16、18)、夏季選手権大会(2009、15、16)
HP▶http://kashibabbc.web.fc2.com/

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