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2018-04-30

[高校野球タイブレーク] 甲子園の実例に 学ぶ 無死一、二塁の戦術 2017春2回戦 福井工大福井ー健大高崎

左投手であることが
可能にした
二、三塁からの重盗

 3月19日、春のセンバツ第7日、第3試合、福井工大福井対健大高崎。9回裏が始まった時点で後攻の健大高崎が1点のビハインド。この回に2点を挙げればサヨナラ勝ちだが、得点できなければ敗戦が決まる。
 二番・小野寺が遊失で出塁し、三番・安里が死球で無死一、二塁とすると、四番・山下の犠打で一死二、三塁とした。五番の渡口に一本出ればサヨナラの可能性があるが、2球目をたたいた打球は一邪飛となり、二死二、三塁、打者は代打・安藤。1ボールからのチェンジアップを強振するも空振りでカウントは1-1。

健大高崎・青柳監督「ギャンブルです。安藤の2球目の空振りを見て、あれしかないと思った」

 二走の安里がスルスルと大きめのリードを取ると、遊撃が二塁に入り、投手が振り向きざまの牽制を送る。その動きが始動するやいなや、三走の小野寺が本塁目がけてスタート。必要だった1点を手に入れた。

健大高崎・安里「僕はサヨナラの走者。相手からしたら絶対にかえしてはいけないから警戒も強い。だから大きめのリードを取れば、牽制をもらえる」

健大高崎・小野寺「相手は左投手。セットポジションでは三塁に背中を向けている。だから投げる前にスタートを切れるんです」

 二死二、三塁の状況でヒットが出る確率と走塁のトリックプレーで1点取る確率を天秤にはかった場合、後者を選べるほど確立されていた作戦だと取ることもできる。確実に1点を取らなければならない状況で、打つだけでは手詰まりになる事態にも陥るはず。そのときに1点取る手を持っておくことは我が身を助ける。

犠打で一死二、三塁をつくった後の得点パターンを複数持つことは重要。ここでは二死後にダブルスチールで得点を挙げた

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