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2018-04-18

[高校野球タイブレーク] 甲子園の実例に学ぶ 無死一、二塁の戦術 2017夏 準決勝 広陵ー天理

リスクヘッジを兼ねた
配球を読んだ強攻策が奏功

 8月22日、夏の甲子園第13日、準決勝第1試合の広陵対天理。4回裏の天理の攻撃は六番・安原の中前打、七番・森本の左前打で無死一、二塁。打者は左投手の広陵・山本対策で打順を二番から下げていた左の八番・杉下だった。

天理・中村監督「サインとしては『引っ張り』。杉下は足が速く、ゴロでもダブルプレーはないですし、フライでも一死一、三塁がつくれます。そうなれば九番・投手の碓井にスクイズさせて二死二塁で上位に回ります」

 杉下に送らせて一死二、三塁でも同様に九番・碓井にスクイズさせると考えれば、打って出つつも「引っ張り」の制限をかけることで、最低限の形を担保しつつ、さらにチャンスを広げられる一手。
 結果として、杉下が真ん中に入ってきたストレートをたたいた打球は右翼手の頭上を越える2点適時三塁打となった。

天理・中村監督「バッテリーがバントを予想しやすいシチュエーションです。やらせようとするなら球が甘く入りやすく、やらせまいとするなら高めに速球を投げてくる。いずれも引っ張りやすい球。変化球でも引っ掛けて右方向の打球になりやすい。長打の結果は出来過ぎですが」

 1点ビハインドから打ち合いとなる展開を見越して、下位打線に向かう打順ではあるが、複数得点以上を狙いにいった策だった。
 その後は、無死三塁から試みたスクイズがファウルになり、前進守備の内野正面へのゴロ2つに三振でさらに追加点を積み上げることはできなかったが、配球の読みが当たり、サインの「引っ張り」に選手が最高の形で応えたことでチャンスは大きく広がった。

配球を読んだ上での「引っ張り」の策が奏功し、長打で一挙2点を追加した

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