8月19日、東京ドームにて「第11回全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップ」が開催され、佐倉リトルシニア(千葉)が2014年以来2度目、交流大会時代の2006年を含めると3度目となる優勝を果たした。
小山ボーイズ(栃木)との決勝戦では、3回裏に九番・高橋の中前打で先制。しかし、4回表にすかさず小山ボーイズが反撃し、七番・星の三塁打などで3点を奪われてしまう。小山ボーイズの先発・仲三河も好投を見せ、試合の流れを逸したに思われたが、佐倉リトルシニアは6回裏に先頭打者の高田が出塁し、続く五番・西川が2ラン本塁打を右翼ポール横にたたき込んで試合を振り出しに戻す。この一発で勢いに乗り、この回打者一巡で一挙6得点し逆転。7回表はエース・諸隈が三者凡退に抑え、7対3で勝負を決めた。
今年はリトルシニアの春の選抜大会での優勝、夏の選手権大会での準優勝に加え、ジャイアンツカップでの全国制覇も果たした佐倉リトルシニア。今年に限らず、例年のように全国大会に出場し好成績を収めている、中学硬式野球界屈指の強豪チームだ。
練習施設としては両翼95m中堅120mの第一球場、サブグラウンドの第二球場、夜間練習もできる第三球場に、室内練習場、合宿所までそろい、プロ顔負けの環境となっている。
その練習内容も中学生レベルを超えた高度なことをやっているのだろうと想像してしまうが、実は決してそんなことはない。25年間チームを見てきた松井進監督は、中学生に必要な練習についてこう語る。
「中学生に難しいことをやらせてもできないものですし、試合ではミスの要因になると思います。それよりも、まずは基礎をしっかりと身につけることが大切でしょう」
松井監督の言葉とおり、佐倉リトルシニアの練習はノックやティーバッティングなどスタンダードなものばかりだ。そして、それらを身につけられるまで何度も反復することがポイントとなる。
ノックにおいても基礎基本を徹底。ノックというと強い打球に飛びついてキャッチするような練習をしがちだが、佐倉リトルシニアでは緩い打球で行っている。
「強い打球に飛びつく練習は、実は楽なんですよね。それよりも、小さな石一つでバウンドが変わる緩い打球のほうが捕るのは難しい。そして、投手が打ち取ったボールというのは、芯が外れているため変則的な軌道になりやすい。それを確実にアウトにするために、ウチでは緩い打球をしっかりと正面で捕れるようにするノックを行っています」
基礎をしっかりと身につける――その言葉の中にも何を目的に行う練習なのかが明確にされていることが、佐倉リトルシニアの強さの秘訣なのだろう。
松井監督がさらに深い指導論を語ったインタビューは、9月16日(土)発売の『ベースボール・クリニック10月号』の付録冊子『中学硬式野球クリニック』に掲載しています。
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