

春季東海大会決勝戦(対大垣日大)では5回二死二塁で先発の川口から新美へと投手交代
夏の試金石ともなる、各地区での春季大会。その結果を眺めると、「継投策」が投手起用のスタンダードとなっていると感じられる。
もちろん、多くの投手に実戦登板を経験させたい、ケガのリスクを回避したいといった夏を見越した上での戦略の面もあるだろうが、決勝戦でさえ1試合を1人で投げ抜いたのは星稜・福田隆太、神村学園・青柳貴大、鹿児島実・渡辺竜基の3投手しかいなかった。
東海大会初優勝に輝いた至学館も、積極的に継投策を用いている。現チームは左サイドの川口龍一、右オーバースローの新美涼介の2枚看板の継投が中心だが、毎年、タイプの異なる5~6人の主力投手をそろえ、1試合で3人以上の投手を起用することが多い。
継投策には大きなリスクがつきものだ。試合の流れが変わることで有利になることもあれば、ミスが重なり自滅につながることもあり得る、一種の“賭け”である。
その点において、至学館の麻王義之監督は「チーム全体での徹底した事前準備」がポイントだと語る。
「次々と投手を代えていけば打者のリズムは崩れますが、それは同時に守備のリズムも崩れることを示しています。投手交代時に戸惑わないように、野手には練習試合からいろいろな投手の後ろで守らせる必要があります。経験を積めば積むほど、『この投手で、このタイプの打者なら、この辺りに打球がいくだろう』ということが分かっていき、大胆なポジショニングも取ることができるようになるのです。
そして何よりも重要なのが捕手です。正捕手は基本1人か2人ですので、さまざまな投手の軌道、特性をしっかり把握しなければなりません。言わば第二の監督のような存在ですから、捕手の育成は投手よりも厳しく、選手にも高いレベルを求めます」
継投策というと投手の育成にのみ焦点を当てがちだが、実際にはチーム全体での戦略理解が重要となっているのだ。
至学館は週に1回程度しかグラウンドの使用ができず、練習環境は整っているとは言えない。また、スポーツ推薦がないため、選手たちは近隣中学の軟式野球部出身者が大半だという。
そうした限られた条件で強豪校に勝つため、選手一人ひとりの負担を減らし、打者に対応する“間”を与えないことを目的に継投策を導入したのだという。
同じように環境が限られたチームにとっては参考になるところがあるのではないだろうか。
至学館・麻王監督のインタビューはベースボール・クリニック3月号に掲載されている。
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