新日本プロレスの新シリーズが1月17日、東京・後楽園ホールから開幕する。
11の都府県(1月16日現在)で緊急事態宣言が発出されたなか、各プロレス団体も対応に苦慮。観客数・観戦スタイルに制限があるのはもちろん、午後8時以降の外出自粛が強く求められている情勢もあり、主に午後6時30分スタートが多い夜興行の試合開始時間を、30分~1時間ほど早めるという対応も見られる。
新日本も緊急事態宣言中の後楽園大会の試合開始時間を午後6時とし、ほかの地方大会もスタート時間を早めると発表。各大会の試合数も全4~5試合と減らし、さらに出場選手数も絞って、リング内外での感染対策を施した上で、興行活動を継続していく。
新シリーズでは1・23大田区総合体育館、1・30愛知県体育館とビッグマッチが続き、ファイナルは2・10&11広島サンプラザ2連戦。昨秋の『G1 CLIMAX 30』でも同会場での2連戦を敢行するなど、広島でのビッグマッチは徐々にスケール感を増している。今回は2日目に、IWGPヘビー級&IWGPインターコンチネンタルの新2冠王者・飯伏幸太の2度目の防衛戦が組まれた。挑戦者のSANADAとの一戦は昨秋『G1』の優勝決定戦と同一カードであり、申し分のない組み合わせと言える。
一方、初日のメインで組まれたのは、IWGPジュニアヘビー級選手権。1・5東京ドーム大会で石森太二を下して自身4度目の同王座戴冠を果たした高橋ヒロムに、昨冬の『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア』で新王者を下しているSHOが挑戦する。
同選手権試合がビッグマッチのメインでおこなわれるのは、2019年5・3福岡大会(<王者>ドラゴン・リーvs<挑戦者>石森太二)以来、1年9カ月ぶり。ヒロムがビッグマッチのメインで同王座のタイトルマッチをおこなうのは初めてとなる(2018年6月に後楽園大会のメインではあり)。
1・5東京ドームではIWGPジュニア王座戦がセミファイナルで組まれ、それは同王座史上、初めてのことだった。ドーム2連戦興行での対戦カードの分散、さらにコロナ禍で全6試合という事情もあったとはいえ、新日本ジュニアにとっては未踏への一歩。同大会の試合後、「ドームメインでのジュニア王座戦」という次なる目標を掲げたヒロムが、来たる2・10広島大会での一戦について語った。
「ビッグマッチのメインで組まれたのはデカいなと思いますよ。いまはまだ、“ジュニアがメインだ、やったー!”って言われる段階ですけど、いつかジュニアがメインで当たり前の時代が来てほしい。でも、(1・23)大田区もジュニアタッグがメインで組まれているし、いまジュニアが全体的に来ているなとは感じます。あと、IWGPヘビー級選手権の前に歴代王者の映像が流れますけど、以前ジュニアもあれを作ってもらったわけですよ。でも、ジュニア王座戦がメインで組まれる機会が少なすぎて、全然流れていない。それが今回、久々に流れるんじゃないかと期待してます。
SHOは変わったなと思います。覚悟、意識が変わったというか、それは試合から感じる部分がありますね。自分自身のためというか、ここで自分が行かなきゃという覚悟を感じるし、やっぱり去年、鷹木さんに勝って、シングルでの自分のチカラに自信をつけたんじゃないかなと思います。でもオレはスーパージュニアで負けているし、あまり上から目線では言えない。SHOも意地でもベルトを取りにくると思うし、オレもここで簡単に落とすわけにはいかない。今度こそ、最多防衛記録を見ていますから」
SHOは昨年の『NEW JAPAN CUP』1回戦で鷹木信悟を撃破。ヒロムが語る通り、シングルプレーヤーとして自信をつけると、スーパージュニアではパワーとサブミッションを融合させたスタイルで存在感を残した。今回IWGPジュニア王座には初挑戦となり、並々ならぬ意気込みをもってヒロムに迫って来るだろう。
ヒロムが見すえる、東京ドームのメインでのIWGPジュニアヘビー級選手権。現時点で道のりは遠いが、過去から連なる“ヘビー級中心”の歴史に風穴を開け続けるヒロムならば、目標を叶える可能性はゼロではない。
<週刊プロレス・市川 亨>
週刊プロレス 1月27日号(WEEKLY PRO-WRESTLING No.2103)