ヘビー級での挑戦を始めて数カ月で挑んだ、王座への挑戦。26歳の若さで丸藤正道が秋山準に対して見せた独創的な闘いを振り返る。
2006年9月9日、丸藤正道が秋山準のGHCヘビー級王座に挑戦。キャリア8年。当時はジュニアだったが、同年3月に田上明に勝利し、4月に小橋建太に肉薄。階級の壁との闘いを始めているまさにそんな時、大黒柱である小橋が腎臓ガンで欠場する。
NOAHの窮地に立ち上がった丸藤は、リング内外を自在に操る独創的なプロレスで秋山に向かっていった。場外戦では鉄柵を利用した不知火も敢行。だが、王者も花道へのショルダースルー、花道から場外へのボディースラム、まさかの雪崩式フランケンシュタイナーで応戦。階級関係なしのシーソーゲームが繰り広げられた。
勝敗を分けたのはスターネスダスト。完璧に決まって勝負ありかと思われたが、丸藤は6日前の前哨戦で一度食らっており、秋山いわく「受け身を覚えたんでしょう。ズラされた感があった」。これをカウント2 で返すと、場内は大「マルフジ」コールが発生し、挑戦者を後押し。
丸藤は秋山の雪崩式狙いに逆に雪崩式不知火を決めて、両者がノックダウン状態となる。ここからは読み合い、切り返し合いの攻防が展開されていく。
リストクラッチ式エクスプロイダーを狙う秋山を巧みな動きで振りほどいた丸藤は左手を握ったまま完璧首固めへ。これで3カウントが入った。
丸藤は当時のGHCヘビー級王座史上最年少となる26歳での戴冠。史上初のGHC 全タイトル制覇という偉業も成し遂げた。
試合後には「オレはすべての人が感動できて、スッキリした気持ちで帰れるような、チャンピオンになりたいです」と所信表明。方舟の天才がNOAHの時代を大きく動かした瞬間だった。
週刊プロレス 2月17日号(WEEKLY PRO-WRESTLING No.2106)