奇襲オンサイドにも慌てず動じず 　オービック、本拠地で開幕3連勝

アメリカンフットボールのXリーグは、トップリーグ「X1スーパー」第3節でオービックシーガルズと東京ガスクリエイターズが対戦し、オービックが東京ガスに大勝した。オービックは開幕3連勝、東京ガスは1勝2敗となった。

オービックシーガルズ○62-7●東京ガスクリエイターズ（2019年9月22日、習志野・第一カッターフィールド）

　オービックが力の差を見せつけた。第1クオーター（Q)2分、WR池井勇輝の65ヤードパントリターンタッチダウン（TD）で先制。直後の東京ガスのオフェンスで、RBアンドレ・ホワイトをファンブルさせリカバー。オービックは、エンドゾーン前7ヤードのオフェンスから、QBスカイラー・ハワードがWR水野太郎にTDパスを決めて、先制TDから15秒後に14-0とした。

　その後もオービックディフェンス陣が、激しいタックルからターンオーバーを量産。TDに結び付けた。後半登場したQB菅原俊もパスで2TDを決めるなど順調な仕上がりを見せた。
　東京ガスは第4クオーターに、インターセプトで得たチャンスからQBイカイカ・ウーズィーが岩越大地にTDパスを決めて、完封を免れるのがやっとだった。

ディフェンスが「らしさ」見せ

　本拠地・習志野での年に一回の大切な主催ゲーム。応援に駆け付けた、習志野市の宮本泰介市長や、多くのファンの前で、オービックディフェンスが縦横に駆け回り、東京ガスオフェンスを圧倒した。

　快勝劇の中で、古庄直樹ヘッドコーチ（HC)が大きく評価したのが後半開始のプレーだ。
　27-0とリードされた東京ガスは、オンサイドキックを仕掛けた。それもキッカー関根祐がボールをセットして、キックオフの隊形を組むと見せかけ、くるっと振り返って意表を突くタイミングで蹴った奇襲だった。オービックリターンチームは、まったく慌てることなく対応し、TE森章光が瞬時に前に出てしっかりボールを押さえた。
　「デカモリ（森章光）が、よく対応した。『オンサイドを狙ってくるとわかっていたけれど、防げませんでした』ではなく、きっちり止めた。イージーじゃない、勝負してきたボールをひるむことなく前に出て捕ったのは、ワンステップアップだと思う」

　ディフェンスは東京ガスのRBホワイトに2つ、QBイカイカに1つ、ファンブルロストさせ、そのボールをすべてTDにつなげた。古庄HCは「雨の予報だったし、（東京ガスは）ランの強いチームだったので、『じゃ、そのランの場面でボールを奪おう』と対策して練習していた。それがその通りにできた」という

　唯一の失点の場面も「完封を目指していたので、TDは悔しい。だが、その前のインターセプトで、リターンされたときに、追いついてタックルしたのが、RBの成瀬。よく走ってエンドゾーンの前で止めてくれた」と評価すべき点を見出していた。

　62-7の大勝だが、課題もある。オフェンスの獲得距離はトータル282ヤード。特に、今秋初出場となったQBスカイラーは、判断の良いスクランブルは健在だが、春は調子のよかったパスで3/8で56ヤード、1TD、1インターセプトと、不安定さが残った。

　オービックは3連勝だが、2勝は前年までの下位リーグ「バトル9」から昇格の2チーム（東京ガス、オール三菱ライオンズ）から上げたもの。同じ3連勝でも、富士通が撃破したIBMビッグブルー、パナソニックインパルス、ノジマ相模原ライズというトップコンテンダーと、対戦強度が違うのは否めない。
　　次節のノジマ相模原戦(10月6日）を皮切りに、パナソニック、IBM、富士通とハードな対戦が続くオービック。「12月の東京ドーム」を目指す本当の戦いはこれから始まる。【写真／文：小座野容斉】

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