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2019-09-26

パスが冴えた最強の2番手QB高木  富士通、ノジマ相模原を破り3連勝

アメリカンフットボールのXリーグは、トップリーグ「X1スーパー」第3節で富士通フロンティアーズとノジマ相模原ライズが対戦し、富士通がノジマ相模原を撃破した。富士通は開幕3連勝、ノジマ相模原は3連敗となった。

富士通フロンティアーズ○49-19●ノジマ相模原ライズ(2019年9月21日、富士通スタジアム川崎)

【富士通 vs ノジマ相模原】第1クオーター4分、富士通RBグラントが54ヤードを走り切って先制TD。フィールドの右端から左端へサッカーでいうサイドチェンジのような走りを見せたグラントだが、どのエリアでも必ず他の富士通選手のリードブロックがあった=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

 富士通が序盤から着々と得点を重ねて、快勝した。第1クオーター(Q)4分、RBサマジー・グラントが54ヤードを走って先制タッチダウン(TD)。8分にはQBマイケル・バードソンからWR森田恭平にTDパスが決まった。第2Qには、DL高谷亮太がファンブルリカバーTDで、21-0とノジマ相模原を突き放した。その後、ノジマ相模原の反撃を許し、21-10とされたが、第2Q11分、QB高木翼からRBグラントへTDパスが決まり、18点差に。
 富士通は第3Q3分には、高木から森田へのTDパス。さらに5分にはDBアルリワン・アディヤミの69ヤードインターセプトリターンTDで32点差として、勝敗はほぼ決まった。ノジマ相模原は第3Q10分にルーキーRB小林篤実がランでTD、第4Qにはパントをブロックしてセーフティーを決めたが、反撃はここまで。第4Q冒頭に高木にこの日3本目のTDパスを決められ、30点差を詰められずに終わった。 

【富士通 vs ノジマ相模原】第3クオーター、富士通DBアディヤミがパスをインターセプトし、69ヤードのリターンTD=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

 

「ついに出番が来た」大型パサーが本領発揮

 試合序盤から、快調に得点を重ねた富士通オフェンス。しかし、第1Q、最後のプレーで落とし穴が待っていた。エースQBバードソンが、タックルされた際に右足首を痛めたのだ。バードソンはサイドラインに下がり、プレー続行が無理なのは明らかで、加入2年目の今季、パス・ラン共に好調だったオフェンスの柱が突然ゲームから消えたのだった。

【富士通 vs ノジマ相模原】第1クオーター、富士通QBバードソンが自ら走ってファーストダウン。この日も快調にオフェンスを進めていたが…=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

 2番手の高木翼は、春のゲームを中心に場数こそ踏んでいるが、秋のリーグ戦で強豪相手に序盤から登場したことはない。ノジマ相模原のQBロックレイは得点能力が高く、丸々3Q残った状況での14点差は富士通にとってはないのと同じだった。高木でしっかりオフェンスできなければ、今季初黒星の可能性があった。
 しかし、高木の心中は落ち着いていた。

「ついに出番が来たかと。富士通に入ってからは、(前任のコービー・キャメロン、現在のバードソンと)アメリカ人QBの下でずっとやって来た。その中で、この3、4年間は、出場の確率が1%でもある限り、いつでも出られる気持ちで準備し続けてきたので、そういう意味では落ち着いてオフェンスに入れた」

 第2Q冒頭から登場した高木は、パスを通したものの、味方の反則で罰退、パントとなった。ここでノジマ相模原が、やってはいけない反則を犯す。DBリー・ハイタワーが、アウトオブバンズで富士通カバーチームの選手に当たりに行った。ノジマ相模原は罰退で自陣ゴール前からのオフェンスを余儀なくされる。富士通ディフェンスが、ここでノジマ相模原のQBロックレイにラッシュをかけて、ファンブルを誘い、DL高谷がエンドゾーンでリカバー、リードを21点に広げる。

【富士通 vs ノジマ相模原】第2クオーター1分、富士通DL高谷が、ノジマ相模原QBロックレイがファンブルしたボールをエンドゾーン内で抑えTD=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

 ノジマ相模原は、反撃を開始する。ロックレイからWR起用のクエンティン・ジョーンズにロングパス、さらにWR伊藤雅恭のパスで前進。FGを決める。さらに次の富士通のドライブで高木のパスをLB田中喜貴が弾き、LB梶浦嵩之がインターセプト。富士通ゴール前でのオフェンスを得る。ロックレイは、落ち着いてWR八木雄平にTDパスを決め、11点差とした。ゲームの行方が最も分からなくなった局面だった。
 前半終了まで、1分15秒の2ミニッツオフェンス。ここで、慶應義塾大学ユニコーンズ時代、関東屈指の大型パサーとして鳴らした高木が本来の力を発揮する。

「インターセプトされて、得点された直後のドライブだったので『とにかくスコアする。TDまで持っていく』という強い気持ちで入った」

 そして、エースWR中村輝晃クラークへ、46ヤードのパスを決め、一気にFG圏内に突入した。ノジマ相模原ディフェンスのオフサイドがあって、『フリープレー』になったパスだった。

「クラークさんが、スタートする前に、オフサイドが起きたことを見ていてくれて、本当は5ヤードのフックだったところを、ディープまで走り込んでくれた。それで大きくゲインできた」

 ゴール前10ヤードまで迫った、セカンドダウンで、高木はQBサックされ、8ヤードをロスする。

「右からブリッツが入ってサックされ、大きくロスしてしまった。右からだったので(右利きのQBとしては)見えてなければいけないし。その場面は、やはり自分はまだまだだと思った」

 サックされて富士通は3回目のタイムアウトを取る。前半終了まで残り30秒余り、FGを決めれば14点差。無理をする必要はなかったが、タイムアウトが残っていないため、ランプレーはできない。そして高木はパスでTDを取り切る意思を持っていた。エンドゾーンの右奥隅に、絶妙にコントロールされた完璧なパスを投げ込んだ。待っていたのは、米NCAAのアリゾナ大では、レジーバーとしての成績の方が優秀だったRBサマジー。見事なTDパスだった。

【富士通 vs ノジマ相模原】第2クオーター11分、富士通QB高木がTDパスを決め、リードを再び広げる=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

「悪いプレーは悪いプレーとして、挽回するために直ぐに気持ちを切り替えられた。その結果があのパスとなった。サマジーを信じて投げた」

 後半は高木のワンマンショーだった。
 ノジマ相模原のパスカバーが深くなれば、手前のレシーバーに落とし、奥が空いたと見れば果敢にロングパスを狙った。第4クオーターには、慶応大の後輩、WR柴田源太に鮮やかなロングボムでTDを決めた。その姿は、高木が2016年に富士通に加入した時のエースQBキャメロンの姿を彷彿とさせた。

【富士通 vs ノジマ相模原】第4クオーター最初のプレー、富士通WR柴田が、慶応大の先輩QB高木からのパスをキャッチしてTD=2019年9月21日  撮影 小座野容斉.

 「人生の中で、どの一瞬も、2度と戻ってこない。だから、今まで2番手としての(大差がついた場面での)起用も、今日のような、勝負が掛かった重要な場面でのプレーも、すべて同じ大切な瞬間だと、自分に言い聞かせた」

 富士通は、対戦相手の強度が高かった開幕からの3戦を3連勝した。ここから3試合は、オール三菱ライオンズ、エレコム神戸ファイニーズ、東京ガスクリエイターズとの戦いが続く。3チームとも侮ることはできないが、高木のパスが、この試合のような調子なら、バードソンが負傷をじっくり癒す期間も与えられそうだ。4連覇に向けた王者の死角が、また一つ減った。【写真/文:小座野容斉】

【富士通 vs ノジマ相模原】第3クオーター、富士通QB高木がパスラッシュするノジマ相模原DL番矢をかわして、WR中村クラーク(81)にパスを決める=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

【富士通 vs ノジマ相模原】パスレシーブ9回142ヤードでチームをけん引したWR中村クラーク=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

【富士通 vs ノジマ相模原】第2クオーター、富士通LB趙がノジマ相模原QBロックレイをタックル・フォー・ロス=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

【富士通 vs ノジマ相模原】タイムアウトを取って、富士通の山本HCと話し合うQB高木。山本HCは「QBが高木に変ったから、ラン中心で攻めようなどという意識はまったくなかった」という=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

【富士通 vs ノジマ相模原】第2クオーターから出場し、パス253ヤード3TDと活躍した富士通QB高木=2019年9月21日  撮影 小座野容斉

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