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2021-02-05

【NFL】スーパーボウル展望 チーフスはOLには不安?  攻守にタレント揃うバッカニアーズ

カギを握るバッカニアーズLBホワイト(左)と、チーフスWRヒル(右)=photo by Getty Images

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第55回スーパーボウル
タンパベイ・バッカニアーズ(NFC)対カンザスシティ・チーフス(AFC)
(2021年2月7日、米タンパ、レイモンド・ジェームス・スタジアム)


今回出場する両チームは、強力なパスオフェンスを有して高い得点力を持つという点などが似通っている。バッカニアーズとチーフスを戦力面から比較してみた。

両チームの主なチームスタッツ
両チームの主なチームスタッツ

移籍組ベテランと生え抜き若手、攻守にタレント揃い…バッカニアーズ


QBトム・ブレイディが、過去10シーズンで勝ち越し2回、二桁敗戦6回という弱小チームを、移籍1年でスーパーボウルに導いたという見方がある。勝敗を見ればその通りだが、戦力面から考えた場合、弱小チームという表現は必ずしも正しくない。

バッカニアーズは、ドラフト上位で指名した生え抜き選手に加え、ベテランのスターもFAで移籍しており、タレントレベルは相当に高い。

オフェンスのバックフィールドでは、生え抜きのWRマイク・エバンス、クリス・ゴッドウィンに、他チームから移籍のTEロブ・グロンコウスキー(元ペイトリオッツ)、WRアントニオ・ブラウン(元スティーラーズ)、RBレナード・フォーネット(元ジャガーズ)といった顔ぶれだ。

ペイトリオッツ時代、ブレイディがパスを投じていたのは、WRジュリアン・エデルマン、クリス・ホーガン、RBジェームズ・ホワイトといった面々であり、身体能力でマンカバーのDBを打ち負かせる選手はいなかった。正確なルート取り、シュアハンド、何よりもQBとの呼吸でプレーを成立させていた。

今のバッカニアーズのレシーバー陣は、基本的なタレント力が高い。NFCチャンピオンシップでは、前半のマンツーマンカバーで、バッカニアーズのレシーバーにパッカーズのDB陣が競り負けるシーンを何度も目にした。

バッカニアーズのエースWRエバンス=photo by Getty Images
バッカニアーズのエースWRエバンス=photo by Getty Images

ペイトリオッツ時代、ブレイディのビッグプレーのターゲットはグロンコウスキーだったが、今はその役割は196センチの大型ワイドアウト、エバンスが担う。エバンスは、今季ルーキー年以来7年連続で1000ヤードレシーブというNFL新記録を作った。

2番手レシーバーのゴッドウィンも、2019年に1333ヤードレシーブを記録した、頑健な体格のスピードスター。ブレイディに背番号12を譲って話題になった今季は、脳震とうや骨折などが続き満足のいく成績ではなかったが、それでも800ヤードを超えた。体調さえ万全ならエバンズに負けない能力を持つ。RBながらフォーネットのパス捕球能力も高い。

ディフェンスは、他チームから移籍のDEジェイソン・ピエール・ポール(今季9.5サック)、DTエンダマコン・スー(6サック)、OLBシャキール・バーレット(8サック)といったベテランビッグネームに、生え抜きの若手、ILBデビン・ホワイト、Sアントワン・ウィンフィールド、DTヴィタ・ヴェアが上手く絡んでいる。

QBサック数48は今季のリーグ第4位。NFCチャンピオンシップでも、パッカーズのQBアーロン・ロジャースから5サックを奪い、反撃を食い止めた。

特にキーになるのは、ホワイトだ。小柄だが、WR並みのスピードを持つ2年目のILB。本来の仕事であるランサポートに抜群の反応を見せるだけでなく、ブリッツからチーム2位となる9サックを記録。パスカバーも巧みで、ディビジョナルラウンドのセインツ戦では、貴重なインターセプトを決め勝利に貢献した。ホワイトが本領を発揮するようであれば、いかに強力なチーフスオフェンスといえども苦しい。

バッカニアーズディフェンスの若きリーダー、LBホワイト(中央)=photo by Getty Images
バッカニアーズディフェンスの若きリーダー、LBホワイト(中央)=photo by Getty Images

オフェンス力は有数だが、守備でも失点8位、ラン守備1位、ターンオーバー8位と要所を締める。タレント力を生かし、メリハリの利いた攻守を、サイドラインではブルース・エイリアンズHCが、フィールドの中ではGOATトム・ブレイディがまとめ上げている。

マホームズのインターセプト率の低さに注目、OLには不安も…チーフス

チーフスも典型的な、オフェンスのチームだ。獲得ヤード、パスオフェンス1位、得点は6位。

QBマホームズは、プレッシャーに強く、機動力がある。発射ポイントを変えながらの正確なパスが、タレント溢れるレシーバー陣と組み合わさることで、しばしばビッグプレーを産んできた。

今季、NFLのTEとしてパスレシーブの記録を塗り替えたトラビス・ケルシー、NFLで最も俊足と言われるWRタイリーク・ヒル。サイズとスピードという、異なる長所を持つ二人は、ディフェンスにとっては悪夢のデュオだ。

マホームズは得点力やビッグプレーばかりが注目されるが、特筆すべきはターンオーバーの少なさだ。昨年、今年とインターセプト率は2年続けて1%、パス100回で1回しかインターセプトされないということだ。

連覇を狙うチーフスQBマホームズ=photo by Getty Images
連覇を狙うチーフスQBマホームズ=photo by Getty Images

気になるのは、OLだ。LTエリック・フィッシャーがAFCチャンピオンシップで、アキレス腱を断裂する重傷、スーパーボウル出場は不可能となった。今季中盤には、ルーキーシーズンから7年半134試合連続で先発出場中だった、RTミッチェル・シュワルツが背中の負傷でIR入りしている。昨年のスーパーボウル優勝時の左右のTがいない状態だ。

マホームズのシーズン中の被サックは22だが、前述のようにリーグ4位のサック数を誇るバッカニーズのパスラッシュを制御できるか、カギになる。

課題だったランは、ルーキーRBクライド・エドワーズヒレアーがスーパーボウルには本格復帰できそうなのは好材料だ。レギュラーシーズンのランはリーグ16位、ランTDは22位と苦戦した。ディビジョナルラウンドで、脳震とうとなったマホームズには、ランプレーはコールしにくい。

チーフスTEケルシー=photo by Getty Images
チーフスTEケルシー=photo by Getty Images

ディフェンスは、ラン21位、パス14位と、リーグ平均値に近いが、インターセプト16はリーグ5位タイ。ブリッツを駆使し、積極的に仕掛けるディフェンスで勝負所を締める。

プロボウラーのDLクリス・ジョーンズ、フランク・クラークがDLの軸。小柄ながら、動物的な動きでボールを奪う「ハニーバジャー」タイラン・マシューが6INT、チームのタックルリーダー、ダニエル・ソーレンセンが3INTと2人のSがパスディフェンスのカギを握る。

◇      ◇      ◇

過去の両チームの対戦は、歴史的なつながりがほぼないためか、今世紀に入ってからは、4年に1度のローテーションで米大統領選挙の年に対戦している。過去5試合はバッカニアーズの4勝1敗だ。


直近では今シーズンの11月29日に、スーパーボウルと同じレイモンド・ジェームス・スタジアムで対戦し、27-24でチーフスが勝った。ちなみに、今回のスーパーボウルでは、初めて女性のオフィシャル(審判員)として、ダウンジャッジにサラ・トーマスが入るが、トーマスは、11月29日の試合もダウンジャッジとして裁いていた。

「スーパーボウルウィーク無し」はどう響く

チーフスの2年続けてスーパーボウル出場は、経験という意味では、バッカニアーズに比較して有利だ。ただ今回のスーパーボウルは新型コロナウィルス感染症の蔓延で、いわゆる「スーパーボウルウィーク」が実質的になくなった。

通常であれば両チームが1週間前に開催地に移動し、さまざまなメディア対応やスポンサーイベントに追われる。そのお祭り騒ぎの中で、いつもの自分を見失う選手も多い。それがゲームの結果にも微妙に影響する

今回はイベントはキャンセル、メディア対応は基本的にオンラインとなった。初の本拠地開催のバッカニアーズには移動がなく、チーフスも試合前日に現地入りするという。

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