決してエリート街道を歩んできたわけではない日比野菜緒。ハングリー精神と熱いハートを武器にコートを駆け回りながら、ときに冷静に、ときにがむしゃらにプレーする日比野のスタイルと、『ルコックスポルティフ』のウェアのイメージは驚くほどにマッチする。
熱く、クールに。それでいて軽やかに。『ルコックスポルティフ』のウェアをまとった日比野菜緒がアニメーション化されたデザントのプロモーションムービーを観て、そんなキーワードが頭をよぎった。それはまさに“日比野のテニス”を体現した言葉だったからだ。
世界ランキング78位――。日本女子テニス界のアイコンといえばもちろんグランドスラムで2勝をマークして世界ランキング1位の座に就き、現在も10位につける大坂なおみだが、日本女子で2番目に位置するのが25歳の日比野だ。
昨年9月、広島での『花キューピット・ジャパンウィメンズオープン』ではツアー通算2勝目を挙げた。日本女子でツアー2勝以上を記録しているのは伊達公子を筆頭にわずか6人。日本女子ではまぎれもなく歴代でもトップクラスの1人だが、日比野は決してジュニア時代からスーパーエリートだったわけではない。全国中学生テニス選手権大会ではシングルスとダブルスで準優勝を飾ったものの、高校進学を機にオーストラリアへテニス留学して以降はジュニアシーンを大きくにぎわせることはなかった。
2011年、オーストラリアから帰国直後に出場した全日本ジュニア選抜室内での姿は印象深い。当初は出場権を持っていなかったのだが、ワイルドカード(主催者推薦)を申請して出場を模索していたのだ。最終的には大会フォーマットが変更されたこともあり無事に出場することができたのだが、最後は今でもプロでしのぎを削る同級生の尾崎里紗との決勝に競り負けた。
「ずっと海外にいたので、日本のトップの人たちとやったらどれくらいできるんだろうって。結果を出して、私のこともみんなに知ってほしかった。これからは、みんなに追いつき、追い越せです」
自分は決して一番ではない。同世代のトップたちが出る大会で自分の力を試したい、知りたい。早くライバルたちに追いつきたい。日本人離れした積極性とハングリー精神は、このときから垣間見えていた。もちろん今でもそれは、日比野というプレーヤーが成長を続ける原動力となっている。
プロ転向から2年半後の15年10月。タシケントで日本女子史上9人目となるツアー初優勝を飾り、周囲をアッと驚かせたときも、日比野の視線は変わらなかった。大会後には当時、日本女子をリードしていた奈良くるみや土居美咲を抜き去り、世界ランクで一気に日本女子のトップへ躍り出たが「タイトルのご褒美のようなもの。奈良さんや土居さんとは残してきた実績が違う。本当の意味で追いついていきたい」と、さらなる高みを見据える姿に変わりはなかった。
翌16年には世界ランキングでキャリハイの56位を記録し、リオデジャネイロ・オリンピックにも出場。「小さい頃から代表でのプレーが夢だった」という思いを現実のものにした。
その後、世界を転戦するツアー生活になじめず、深く沈みこんだ時期もあったが、昨年10月の広島で突如、復活。シングルスとダブルスのダブル優勝というオマケつきでツアー2勝目をマークすると、今年に入ってもオーストラリアン・オープンでグランドスラムでのマッチ2勝目を挙げて2回戦に進出、タイ・ホアヒンでのツアー大会ではベスト4入り。ハングリー精神と熱いハートはそのままに、持ち味のスピンを生かした粘り強いストロークの精度には磨きがかかり、ふたたび世界の頂を目指すべく上昇気流に乗っている。
「前は試合を投げてしまうことも多かったけど、ミスを引きずることが少なくなったし、前を向いていられる時間が増えました」と笑顔を見せながら、「試合中、冷静でいることも大切だけど、このポイントは絶対取ってやるっていうがむしゃらさも大事」と、心の内でたぎる思いはさらに熱く燃え盛っている。
熱く、クールに。それでいて軽やかに――。
先のプロモーションムービーに話を戻そう。素早く熱を放出し、優れたクーリング機能が快適な着心地を実現するデサントの開発素材「クーリスト」を搭載した『ルコックスポルティフ』のウェアのイメージと、日比野のテニススタイルはまさにマッチするということだ。
そんな日比野のテニスから、これからも目が離せない。
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