1997年6月5日、新日本プロレス日本武道館大会で武藤敬司がIWGPヘビー級王座に挑戦した。 大会前にはアメリカでグレート・ムタがnWo入り。武藤とムタは別物ではあるが、同一人物が使い分けているのは事実。ムタはnWo、素顔の武藤は本隊なのか。それとも…。
決戦当日、IWGPヘビー級王者・橋本真也の前に現れたのは素顔の武藤だった。久々に1回転してリングに舞い降りるジャンピング・インを披露。しかも、ロングガウンを着たままで、だ。
武藤は橋本の蹴りを徹底的にディフェンス。新日本プロレスらしい相手の技を受けるよりも先に封じ込めていく緊張感に満ちた闘いで1万4000人の大観衆を魅了していった。
武藤vs橋本戦史上最高の名勝負と言える激闘は橋本が垂直落下式DDTで勝利。試合後、武藤のもとには蝶野正洋らnWoが駆けつけたが、武藤は一人でリングを降りて引き揚げた。
「コメントすることは何もない。ただ…ただ、プロレスが楽しくてしょうがねぇよ。今日からが始まりだ。面白い。あとはみんなマスコミが想像してくれ」(武藤)
本隊に留まるのか、nWo入りか。大一番で敗れた武藤は意味深な言葉を残していた。