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2021-06-11

【ボクシング】スーパーフェザー級ランカー対決は三瓶が快勝

一方的な展開が続き、レフェリーがようやく宮本を救った

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 11日、東京・後楽園ホールで行われたスーパーフェザー級8回戦は、日本同級9位の三瓶数馬(26歳=協栄新宿)が、18位の宮本知彰(27歳=一力)を6回1分30秒TKOで下した。

 2013年全日本新人王、2017年には日本ユース同級の初代チャンピオンとなった三瓶だが、新人王戦後から徐々に、そしていまではすっかり“打たせて打つ”ド・ファイター化してしまっていた。

「あのボクシングで勝っていたから……。でもレベルが上がれば勝てなくなる。体も心配。だけど、本人がとにかく頑固なので……。練習はひとりでやらせて、試合のときだけセコンドに就くということもありました」(内田洋二トレーナー)

 それが昨年8月の前戦(対長谷川慎之介=ワールドスポーツ)に敗れ、「このボクシングではダメだ」と本人もようやく自覚したのだという。

「両方のガードでリズムを取るようになってから、他の部分もスムーズに機能していった」(三瓶)という。

 移籍2戦目の、関西大学ボクシング部出身の宮本との“サウスポー同士”の対戦は、宮本が、三瓶の入り際に切れ味鋭いストレートを放ってスタートしたが、三瓶は、リズミカルで重たいブローを上下に突き刺していき、宮本を下がらせ続けた。

三瓶がジャブで宮本の顔面を再三のけ反らせる。これは“ストップするタイミングを計る”バロメーターだ
三瓶がジャブで宮本の顔面を再三のけ反らせる。これは“ストップするタイミングを計る”バロメーターだ

 体幹の強さがあり、力みすぎずに打ち出される三瓶のブローは流れず、体も決してブレない。だから、連打も利き、宮本のブローへの反応もできる。“外して打つ”は徹底され、攻防を流れるように自在に操り、強弱もコントロールできていた。

 外から内にダブルで放つ左右ボディブロー、顔面への右フック、左ストレート、そして再三のけ反らせた右ジャブ。三瓶がやりたい放題状態になったのを見て、レフェリーが試合を止めた。

 これまで長年、激しい打ち合いの沼にハマり込んでいたが、そこから見事に抜け出してみせた。「シャワーを浴びて顔が痛くないのは久しぶり」と笑う。だが、快勝の中にも「課題はまだまだある」と師弟は口をそろえた。もちろん、この試合で満足することはない。
 三瓶の戦績は26戦20勝(9KO)6敗。宮本の戦績は13戦7勝(6KO)6敗。

清田が“技巧派”柳を2回で倒す

清田(右)の強烈な右カウンター!
清田の強烈な右カウンター! この後、柳は大の字に

 セミファイナルでは国内ライト級で“技巧派”としてならす日本6位の柳達也(31歳=伴流)と、ノーランクの清田亨(26歳=大橋)が8回戦で戦い、清田が2回2分41秒TKOで勝利。日本ランク入りを決定づけた。
 立ち上がりから長身の清田が積極的に左右ストレートで打ちかかり、柳はそれをカバーしながら右クロスを虎視眈々と狙っていた。しかし2回、柳にとっては長く、清田にとっては絶妙の距離で清田の右がカウンターとなり、柳がその場に落下。辛くも立ち上がった柳は、サウスポーになったり、腕を絡めたりして回復を待ったが、清田がふたたび狙いすました右をヒットすると、柳は背中からキャンバスに倒れこみ、レフェリーが試合を止めた。
 気持ちの揺れ動きが手に取るようにわかったこれまでの清田だが、この日は冷静に柳をしっかりと見据えていた。
 数分間起き上がれなかった柳は、いよいよ日本王座挑戦を目指そうというところでの、ショッキングな敗戦となってしまった。
 清田の戦績は15戦11勝(8KO)4敗。柳の戦績は26戦17勝(7KO)7敗2分。

苦闘の重田がようやくストップ
苦闘の重田がようやくストップ

 2017年全日本新人王で、日本ウェルター級17位のサウスポー重田裕紀(30歳=ワタナベ)は、5連続KO負け中の宮崎辰也(36歳=一力)と8回戦。この日は、久々にシャープな左フックを振るう宮崎に対し、重田は右ガードを掲げながら、左ストレート一本で通す。不自然なまでに右を打たない姿は、どこか故障していることを想像させた。
 リードブローを打たないから、まったくリズムは取れず。宮崎の左フックを浴びて、ダウン寸前に陥ることが何度もあった。だが5回、重田が左をヒットすると、宮崎がダメージを負い、ここで重田が連打するとレフェリーがストップした(2分59秒)。
 7月で誕生日を迎える宮崎は定年を迎え、これがラストファイトとなる。最後の最後で、かつての生き生きとした動きを見せてファンを沸かせた。
 重田の戦績は10戦7勝(4KO)2敗1分。宮崎の戦績は24戦9勝(9KO)15敗1分。

文_本間 暁 写真_小河原友信

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