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2021-06-30

【ソフトボール】MORI ALL WAVE KANOYAの挑戦(1)

2020年12月に発足したMORI ALL WABE KANOYA(撮影/新甫條利子)

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今季から日本女子ソフトボールリーグ3部に参入したMORI ALL WAVE KANOYA(モリ・オール・ウェーブ・カノヤ)。1部や2部経験者も多数在籍するチームは、前半戦を終えて無傷の5連勝と快進撃を見せている。どのようにしてチームが発足し、初めての日本リーグに挑んでいるのか。ソフトボール・マガジン5月号に掲載した記事を、3回に分けて紹介する(内容は2月取材時のまま)。

鹿児島初の
女子
リーグチーム誕生

 2019年、前身のALSOK鹿児島ALLWAVEが全日本クラブ選手権で準優勝し、日本リーグ加盟を目指して20年12月に発足したのが、MORI ALL WAVE KANOYAだ。リーグへの加盟が正式に決定し、今季3部からの挑戦となる。
 ALSOKが日本リーグ加盟のチームとして新たなスタートを切ったのは、選手兼コーチとしてチームを支える元 日本代表捕手の谷川まきが「日本リー グ加盟を目指そう」と言い出したこと がきっかけだった。
「準優勝した年の秋に開催された茨城 国体の宿舎だったと思います。谷川が 本気で『日本リーグを目指したい』と 相談してきたんです」
 そう振り返るのは、池田一未監督だ。当時は国体チームのコーチとして帯同しており、強豪・神村学園中等部の監督を務めていた。
「そんな簡単に加盟できるもんじゃないと言ったんですけどね。谷川も本気でしたから」
 当時国体チーム監督で、ALSOK の監督でもあった門倉充(現MORI部長)とともに、 池田監督らはスポンサー探しに奔走した。そしてようやく、地元で建設業やホ テル業を展開する森産業グループにたどり着いたのが20年7月だった。夏にはセレクションを行い、大学生や高校生の加入も決まった。「セレクションは森産業グループの幹部の方々も見に来られていました。彼女たちのプレーを見た翌日、『ウチで面倒を見ましょう』と門倉部長にお返事をいただいたときは、本当に鳥肌が立ちましたね」(池田監督)


神村学園中等部で監督を務めた池田一未氏がチームを率いる(撮影/新甫條利子)

 鹿児島県の南東部、大隅半島に位置する鹿屋市は、農業や畜産が盛んな地域。そこで事業を展開する森産業グループの「地元を盛り上げたい」という熱意も重なった。
 一方で、日本リーグ加盟を熱望した谷川にも、ある思いがあった。「一つは、鹿児島の中・高校生の目標 になりたいと思ったからです」
 インターハイ3度の優勝を誇り、現日本代表の川畑瞳(デンソー)らトップクラスの選手を数多く輩出している神村学園中・高の活躍を筆頭に、ソフトボールが盛んな地域でありながら、 鹿児島には女子のリーグチームが存在しなかった。国体少年チームを指導す る機会もあった谷川だからこそ「リー グ選手になりたいと思っている鹿児島の中・高校生に、試合を見せてあげたい」との思いが芽生えたのだった。
 20年に開催予定だった鹿児島国体に向けて、谷川ら国内トップで活躍していた6人の地元出身選手が県強化指定選手となり、鹿児島に戻ってきたことも追い風だった。「選手も集まっていた時期で、その選手たちが地元で再び輝けるように」という思いもあり、リ ーグ加盟に向けた動きが本格化していった。さらにもう一つ、谷川がリーグ加盟を推した理由があった。 「木村を日本リーグに挑戦させたかったんです」
 木村麻利亜はMORI所属の右腕で、 谷川とは国体とALSOKでバッテリ ー歴7年目を迎える投手だ。
「コントロールもいいし、ここぞという場面での気持ちの強さもあって、す ごくいいピッチャーなんですが、自分自身に自信が持てないように見えていました。私は木村のような日本人らしいピッチャーを育てることが、日本の ソフトボール界で重要だと思っているんです。キャッチャーから見ると、組み立てるのが面白い投手だし、力で押す外国人投手に対して、頭で押せるというか。日本リーグで投げさせたら面白いだろうな、という思いもあって、 このチームでリーグ加盟を目指そうと思ったんです」
 谷川が思い出したのは、10年のアジア大会(中国・広州)だった。決勝ト ーナメントでスターティングメンバーに入ることができず、ずっとブルペンにいた谷川は「ピッチャーを送り出す ことが自分の役割」と、気持ちを切らすことなくチームを支えていた。そんな谷川に、日本のエース、上野由岐子 (ビックカメラ高崎)が「ナイスキャッチャー」と声を掛けた。
「うれしかったですね。自分も努力している選手に対して、そういう声を掛けられるようになりたいと思いました」
 36歳になった今、チームだけでなく、日本ソフトボール界の未来を見据え、 谷川自身も日本リーグへ再挑戦することとなった(つづく)。

中野花菜選手、西山絵梨香選手の対談を掲載した
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取材・文/新甫條利子

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