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2021-07-09

【ソフトボール】東京五輪ソフト代表の山崎早紀(1)「ちょっとデータとは違うぞ、と思わせたい」

宇津木ヘッドコーチの指導で打撃の幅が広がったと語る山崎(写真/斎藤 豊)

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五輪でのソフトボール競技は2008年の北京大会を最後に正式種目から除外されていたが、2020年東京五輪で追加種目としての採用が決まり、強化を進めてきた。ソフトボール・マガジンWEBでは、3大会ぶりとなる東京五輪で金メダル獲得を目指す15名の選手たちを、順々に紹介していく。

 
山崎早紀 (トヨタ自動車/外野手)
熱い気持ちを胸に(1)

昨年はリーグMVPに輝く活躍を見せた山崎。山本優や森さやからと並び強打者としての活躍が期待されるとともに、外野守備も高い評価を受けている。さらに宇津木麗華ヘッドコーチが信頼を置くのは、内に秘めた熱い心。強い気持ちで日本代表を引っ張っていく。(取材は5月4日、全文はソフトボール・マガジン8月号掲載)


2つの打ち方で打撃に幅が生まれた

──東京五輪日本代表候補に選出されたお気持ちを教えてください。

山崎 まずは良かったなとホッとしました。そして、この15人の中で自分は何ができるのか、期待されていることにしっかりと応えたいという気持ちになりました。記者会見では、宇津木(麗華)監督がバッティングとともに私と原田(のどか、太陽誘電)の守備範囲も評価してくださっていたので、センターの山田(恵里、デンソー)さんが少しでも楽になるようにライトとレフトでしっかり守りたいと思っています。

──小誌7月号で原田選手にインタビューした際、捕手の経験が外野守備に生きていて、同じく捕手経験のある山崎選手も同じ感覚かもしれないとおっしゃっていました。

山崎 たしかに、打者の動きを見ながら予測して、相手にバレないように少しずつ守備位置を変えることがありますが、その感覚は捕手の経験とつながっているもしれないですね。予測を間違えることもありますけど、情報と自分が感じることが一致すればすごくいい守備ができると思います。

──打撃についてはいかがですか。

山崎 2018年の世界大会では結果を残すことができたけど、今回の東京五輪では相手も研究して「ここは得意だ」「ここは打てない」といったデータを持っているだろうと思います。それを覆すではないですけど、「ちょっとデータとは違うぞ」と思わせたいですね。

──18年の世界選手権とは打席に立つ思いが違いますか。

山崎 世界選手権は、それまで国際試合にあまり出ていたわけではなかったので、配球がどうこうというよりも自分のバッティングを思い切りやってやろうという気持ちで臨んでいましたね。それから3年経っているので、試合の中で自分がどう変わったかを感じられるのは楽しみでもあります。

──宇津木ヘッドコーチは、打撃における修正能力を評価されていました。

山崎 自覚はあまりないんですけど、ただ切り替えはすごく意識しています。一打席一打席配球は違うので、狙うボールも違ってきますし、凡打になっても「次の打席がある」と思うようにしているので、そういったところが修正できるというように見られているのではないかと思います。

──合宿では宇津木ヘッドコーチから打撃の指導を受けましたか。

山崎 フォームの修正などはあまりありませんでしたけど、「こうすれば打撃の幅が広がるよ」とアドバイスをもらいました。その発想が面白くて、自分とは真逆というか、考えつかないことを教えてくれるので「なるほど~」と思っていました。簡単に言うと、ライズ系、ドロップ系のピッチャーがいるので、それぞれに合わせた打ち方をするということ。私はそれまでライズ系に合わせた打ち方しかしていなくて、ドロップ系のピッチャーからはなかなかヒットが出なかったんです。それで、投手によって打ち分けられればいいんじゃない?と。

──ドロップ系に対する打ち方を習得するまでどれくらいかかりましたか。

山崎 19年の冬の合宿のときに言われて、それから練習をしていたんですけど、みんなが試合でヒットを打っている中で私だけ凡打しか出なくて、これで本当に結果が出るのかなと不安になったりもしました。でも、昨年の本来のリーグ開幕時期だった3月、4月くらいにはいい感覚をつかみはじめて、9月にリーグ後半戦が開幕してからもいい調子をキープできたので、今は身体が覚えてきたかなと感じています。


【PROFILE】
やまざき・さき/1991年11月12日、静岡県生まれ。170cm66kg。右投右打。外野手。常葉大附菊川高-トヨタ自動車(2010年~)。チームでは15年にレギュラーとなり、18年は打点王、本塁打数2位の活躍で優勝に貢献。20年はMVP、首位打者、打点王の三冠に輝いた。16年に日本代表に初選出され世界選手権出場。17年に選考外になるも、18年に復帰し二度目の世界選手権出場。今季リーグ成績(5節終了時点):11試合、38打席、5安打、1本塁打、1打点、2盗塁、打撃率.147。

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