14日、東京・後楽園ホールで開催されたWBOアジアパシフィック・ミニマム級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンの重岡銀次朗(21歳=ワタナベ)が同級3位の川満俊輝(25歳=三迫)を2回2分5秒TKO勝ちで下し、2度目の防衛に成功した。 ハードヒッターで鳴らすサウスポーの王者が格の違いを存分に見せつけた。開始ゴングから153センチの小さな体が躍動する。1分も経たずして、スピードで勝る重岡がペースを掌握。低い体勢から得意の左ボディを立て続けに叩き込む。構わず前に出てくる川満の動きにもうまく対応した。ショートアッパーを織り交ぜながらけん制し、相手が懐に飛び込んでくるところに右フックを合わせた。ガードの上からでも十分に脅威を与えていた。
2回からはさらにギアを上げ、ぐいぐいプレスを掛けてくる川満を逆にのみ込む。勢いよく相手が踏み込んできた瞬間だった。鋭く振った右フックがクリーンヒット。身長差で10センチも上回る川満が、ヒザを付いて前のめりにキャンバスに崩れ落ちた。すぐに立ち上がったものの、ダメージは明らか。表情はこわばり、苦しい表情でファイティングポーズを取るのが精いっぱいに見えた。
それでも、重岡は一気に畳み掛けることはせず、落ち着いて間合いを取りながら、じわりじわりと追い詰めた。ボディから攻め込み、相手の動きが鈍ったところで回転を上げる。左フックから再び右フック。相手のヒザががくっと落ちたところで、レフェリーがすかさず間に入った。
会心のストップ勝ちで終えると、リングで大きな声を張り上げた。「興奮していました。あんなに叫んだのは初めてです」。試合後も険しい表情を崩さないまま、ベルトを肩にかけていたが、内心は喜んでいたのだ。報道陣に囲まれて、胸の内を明かした。
「調子に乗って喜ぶのを抑えていました。めっちゃうれしいですよ。きょうは全部よかった」
町田主計トレーナーも「完璧でした」と手放しで褒める戦いぶり。約1年半ぶりのリングとは思えないほどの内容だ。
「ずっと練習してきて、進化していることを証明できました。ずっと言っていますが、いつでも世界戦をやりたいです」
力強い言葉には自信がにじんでいた。陣営はすでに2団体の王者とタイトルマッチの交渉を行っていることを明かしたものの、コロナ禍の影響で話は簡単には進まないという。野心家の重岡も状況は理解している。「チャンスを待つしかないです」。ひとまずは1年半ぶりに熊本の実家に帰省し、のんびりと英気を養うつもりだ。
重岡の戦績は6戦6勝(5KO)。タイトル初挑戦で初黒星を喫した川満の戦績は7戦6勝(3KO)1敗。果敢に打ち合いに挑んだものの、右フック2発に沈んだ。