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2021-07-20

【ボクシング】「最後は気合」ワチュク・ナアツが元王者・細川に殊勲の勝利

主導権を握ったナアツ(左)の左ボディブロー

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元東洋太平洋&WBOアジアパシフィック・ミドル級チャンピオンで現日本同級1位の細川チャーリー忍(36歳=金子)は20日、東京・後楽園ホールで日本同級14位のワチュク・ナアツ(23歳=マーベラス)と8回戦を行ったが、0-3の判定負けを喫した。

 数年前、チャーリーが自分と同じナイジェリア人とのハーフであることを知り、自ら話しかけたというナアツ。以来、階級が近いこともあり「いつか戦う存在」と意識してきたが、この夜、実際に対戦するとなって「やりにくいと思った」と、複雑な気持ちもあったことを明かした。だが、開始ゴングとともに「その気」で攻めかかってきたチャーリーを見て、雑念は吹き飛んだ。

 ナアツは一回り大きいチャーリーの懐にもぐり込み、低い姿勢から渾身の左ボディを叩き込む。右クロス、左フック、右アッパーとつなげる高速コンビネーションも繰り出し、若さとスピードで一気にペースをつかみ取った。初回にバッティングで右目尻から出血したチャーリーは、ストップの不安から迷いを断ち切れない。ジャブ、ワンツーで立て直しにかかるも、すっかり勢いづいたナアツに倍返しの連打を食らった。

 2回、4回とナアツの猛烈なボディ攻めに、タフなチャーリーの動きが止まりかける。チャーリーは6回から猛反撃に移り元王者の意地を見せたが、ナアツは頭を振って決定打をかわし続け、最終8回には右カウンターでチャーリーを棒立ちにさせた。判定は79対73、76対74、77対75で3者ともナアツを支持した。

「シンプルにうれしい」。ランキング上位進出を決めて喜んだナアツだが「最後は気合でやっていた。もっとスタミナつけないと」とタイトル挑戦には課題を挙げた。前戦で初黒星を喫したWBOアジアパシフィック王者・井上岳志(ワールドスポーツ)へのリベンジにも意欲を示し、今後はスーパーウェルター級とミドル級の両クラスでチャンスを狙っていく。

 チャーリーはこれで3連敗。「強いね」とナアツを称え、自身の今後については「まだノックアウトされてないからね」と現役続行の意志を口にした。

文/藤木邦昭 写真/小河原友信

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